寄付の文化を育てるには
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寄付の文化を育てるには
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
政治学者で慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏による「寄付の文化」論。日本でも寄付という行為がようやく根づき始めたが、曽根氏は「見返りを求めるようではまだまだ」と手厳しい。寄付先進国アメリカの教会や大学、美術館、水族館の実例を交えながら、寄付と文化の関係を論ずる。
時間:8分47秒
収録日:2016年4月27日
追加日:2016年6月24日
カテゴリー:
≪全文≫

●寄付の原型


 この話は、タイトルを付けると“寄付の文化を育てるには”となります。「日本には寄付の文化は育たない」「日本はあまり寄付になじみがない」という意見がありますが、必ずしもそういうことはありません。ただ今、寄付というと、もっぱら「ふるさと納税」という、納税なのか通販をやっているのかよく分からない話になります。あれは見返り、つまりいくら納税すると税が控除されてどこかの特産品がもらえるということで、一種のテレビ通販のような話が普及していますけれども、寄付とは本来そういうことでは多分ないだろうと思います。

 寄付は何の見返りを期待しているのか。政治に対する寄付もそうですけれども、寄付に見返りはあるのか。その見返りとは、一番いい例が自己満足でしょうが、ある種の売名行為かもしれません。ですから、今、もっぱら寄付をした人に対する不謹慎だという批判、あるいは不謹慎自警団、不謹慎狩りを行うという、寄付をした人の足を引っ張る、攻撃をするという行為がたくさん起こっているのです。私が言う「寄付の文化を育てる」ということと逆の現象が起こっていて、非常に嘆かわしいわけですが、そもそも、見返りを期待する寄付は、寄付の原型ではないと言えます。むしろ自尊心の方があり得るでしょう。


●教会の献金にみる寄付と税金の関係


 その寄付の原型を見た事例としてどういうものがあるかといいますと、それこそ昔、クリスマスの時期にアメリカの南部を歩いたときのことです。キリスト教プロテスタントのメソジストかバプテストか定かではありませんが、あまり豊かではない宗派の教会で、寄付する人が献金袋にお金を入れることはよく知られていました。私はキリスト教徒ではないのですが、子どもの頃、教会が経営する幼稚園に通っていたため、小学校半ばまで日曜学校に通ったことがあります。ですから、「献金する」ということはよく分かっているのですが、実は小切手を寄付するのです。小切手を寄付するという行為はよく分かるのですが、小切手にソーシャル・セキュリティー・ナンバー(社会保障番号)を書き込むのです。

 これを見て、「あー、そうか。これで税の申告のときに控除してもらおうという一般的な風潮があるのか」と思いました。一般的な寄付と税金の関係はそうなっているのか、少額であってもソーシャル・セキュリティー・ナンバーを書き込むという習...

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