2017年頭所感-プラチナ社会へ合理的楽観主義のすすめ
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
小宮山宏座長がプラチナ社会に向けて送る力強いメッセージ
2017年頭所感-プラチナ社会へ合理的楽観主義のすすめ
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
東京大学第28代総長で株式会社三菱総合研究所理事長のテンミニッツTV座長・小宮山宏氏が、2017年を「プラチナ社会」への第一歩の年と位置付け、力強いメッセージを送る。これからはAIをはじめとする技術革新で新たな質を伴った経済成長を目指す時代。今、私たちに必要なのは、合理的かつ楽観的な未来を切り拓く発想だ。
時間:13分13秒
収録日:2016年12月7日
追加日:2017年1月1日
≪全文≫

●2016年の幕切れは顕著な保護主義的傾向


 新年明けましておめでとうございます。昨年(2016年)は年の暮れ近くになって、国際的にもいわゆる保護主義の動きがきわめて顕著になり、いろいろと不安を抱く一年だったのではないでしょうか。イギリスのEU離脱(BREXIT)があり、12月のオーストリア大統領選では中道左派が勝ったわけですが、イタリアでは国民投票で憲法改正案が否決されたことで、国粋主義的な政党の勝利と受けとめられています。

 何しろ、最大の動きはアメリカです。世界の中で圧倒的に強いアメリカではなくなったけれども、まだまだ世界を引っ張る国であるアメリカで、ドナルド・トランプ氏のような人が出てきました。今のところ皆、トランプ氏の情報を集めようとしているわけですが、やはり「これからどうなるかちょっと分からない」というのが大勢の考えるところで、もしかしたら、トランプ氏自身も全体的にどうなるかということは分かっていないのかもしれない、という思いすらあります。


●低成長化時代-イノベーションによる生産性向上が鍵


 そういう意味では、不安な面は非常に大きいのですが、一つお話ししておきたいことがあります。昨年の8月、9月に相次いで経済に関する非常に良い本が出版され、それぞれベストセラーになりました。一つは吉川洋先生の『人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長』(中央公論社)という本で、もう一つは水野和夫先生の『株式会社の終焉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)という本です。また、私事で恐縮ですが、『新ビジョン2050 地球温暖化、少子高齢化は克服できる』(日経BP社)という私の本も10月に出ています。

 この三冊を読んでみると共通点があり、経済、あるいは地球といったものに対する現状認識が極めて似ているのです。水野先生は、資本主義は中心と周辺からできていて、その周辺への拡大が終わったとして経済の成長は止まるという考えをお持ちで、今度はもっとゆっくりと地域を見るという発想です。成長を求めないという時代が中世にあったのですが、その「中世に戻る」というのが水野先生の仰っていることです。

 吉川先生は、経済成長が止まってきているという事実の認識はまったく同じですが、未来に対してもう少し明るい言い方をされています。1955年から1970年にかけて、日本は高度成長の真っただ中にあったわけで、年率...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
大谷翔平の育て方・育ち方(8)目標に向かう力
なぜ毎日練習したくなるのか?大谷翔平の目標に向かう力
桑原晃弥
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤
「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の生涯(8)大首絵の成功と蔦重の最期
謎の絵師・東洲斎写楽を「役者絵」で起用した蔦重の思惑
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二