良質なリーダーをどう育てるか
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本はなぜかエリートが嫌い、育てようともしない
良質なリーダーをどう育てるか(1)日本の官僚と現実の問題点
齋藤健(衆議院議員)
 国力の原点は人材であり、良質なリーダーをどう育てるかは、国家として重要なテーマである。かつて日本は優秀な人材を政府が抱える、世界でも有数の国だったが、現在はどうなっているのか。この問題について、齋藤健氏が日本の実情を語る。(前編)
時間:6分14秒
収録日:2014年2月18日
追加日:2014年5月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●官僚パッシングによって採用から崩れてしまった官僚組織


―― 通産省は、齋藤さんが昔、通産省の役人だった頃のほうが、遥かに自由度があったのではないですか。

齋藤 ありましたね。

―― 今は相当まずそうですよね。

齋藤 まずいですね。まだ、今の局長クラスぐらいまでは踏みとどまって、頑張っていますが、あと10年経ったらどうなるのか。

―― ガタガタでしょう。だって、人間というのは、積み重ねですから、30代の頃にそういうことをしていなかったら、40代でそうなるわけがないですから。

齋藤 おっしゃる通りです。

―― そこがぽこっと抜けていると。おそらく、かろうじて支えていたのは、大蔵省や通産省の一部の人たちの中に、自由にものを発想する力と、どこでもヒョコヒョコ出て行くという行動力がまだあったからで、そういうものが失われてから、多分10数年は経っているでしょう。

齋藤 経っていますね。

―― そうすると、ここの部分が使えなくなってきて、今50代前半くらいの局長さんたちがいなくなった頃に、本当の人材というのは払底するではないですか。

齋藤 それは感じています。官僚バッシングが1990年代後半から、非常にきつくなりました。バッシングがきつくなったのは当然で、こちらの側にもおかしなところがありました。学生というのは非常にピュアですから、メディアによって、天下り先を探すのに汲々とし、ノーパンしゃぶしゃぶに通い、上から目線でいつもものを言う人たちというイメージがつくと、まともで正義感の強い人ほど、「そんなところへは行きたくない」ということになるわけです。だから、採用から崩れてしまったのです。

 しかし、そういった官僚はほんの一部の人です。本当に意気に感じて、自分を犠牲にしながらも、国のためとやっていると思って働いている人はいっぱいいます。

 けれども、そういう情報は、メディアでは流れない。そうすると、メディアの情報にしか接していない学生は、そんなところには行かないというようになるわけです。だから、まず採用から崩れてきたのです。

―― なるほど。そこは、致命傷になりますね。

齋藤 採用が崩れてきたということは、組織の人材能力を決定する要因として、致命的に大きいです。

―― 霞が関というのは、人材しかいないところですし、それ以外何にもないわけですから。

齋藤 1...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
ケルト神話の基本を知る(1)ケルト地域と3つの神話群
ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話
鎌田東二
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(5)「チーム戦と新規ビジネス」の要点
「土地勘のあるところ、自分たちの武器を持っていく」
水野道訓
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子