四人の恩師
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
経営の神様から学んだ「国家経営」という考え方
四人の恩師
政治と経済
前原誠司(衆議院議員)
政治家・前原誠司氏にとって、欠かすことができない四人の恩師がいる。国際政治を学んだ学生時代、松下政経塾の頃、そして政治家になってからと、大事な時期に前原氏を支えた恩師たち。その人物像について、前原誠司氏が熱く語る。
時間:20分52秒
収録日:2014年3月20日
追加日:2014年6月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●高坂正堯氏:『国際政治』とリアリズム


前原 私の恩師には、いろんな方がおられます。先輩方にもお世話になっておりますし、いろいろな方との出会いの中で今までやってくることができました。その中で何人かお話しをさせてもらいたいと思うのですが、今日は四人の方のお話をしたいと思います。そのうち三人の方はすでに亡くなられたのですが、お一人は今も生きておられる方です。
一人目は高坂(正堯)先生で、「国際政治はリアリズムが必要だ」という考え方を私に教え込んでくださった方です。
先ほどお話した『国際政治』という中公新書の本の中で、日本の政治家というのは、国内政治なら 権謀術数だと分かっているのに、国際政治になると理想主義的なものになる。国際政治であれ、国内政治であれ、政治という名がつく以上は権謀術数であるのに、そのことを忘れてしまう、ということをおっしゃっていました。
例えば、平沼騏一郎首相ですが、独ソ不可侵条約が結ばれたときに残した言葉が「複雑怪奇」という言葉でした。たしかに、当時は日独伊で協力していましたし、その後のことで言うと、アメリカ、ソ連、イギリスがヤルタで話をしたりしていますし、今クリミア半島がいろいろと注目されています。そうなると敵同士であることは間違いないけれども、その敵同士だと思っていたところが、不可侵条約を結んだということです。それを「複雑怪奇」だと言って、総辞職するわけです。これを高坂先生は、ばっさりと切っています。
国際政治というのは、複雑怪奇なものであり、お互いが国益に基づいて打算で行動しているということを考えれば、そんな組み合わせは十分にあり得ること。なのに、それを分かっておらずに日本の国を統治していたということについて、かなり厳しくばっさりと切っているわけです。
私は、そのリアリズムというものに非常に感銘を受けております。また同時に、高坂先生は、中江兆民の『三酔人経綸問答』という本を引用されています。
その本には、洋学紳士君、東洋豪傑君、そして、彼らの先生も出てくるのですが、要するに、理想主義的な平和、例えば武器をなくすという、昔の国際連盟のような考え方の洋学紳士君と、一方、徹底的に武力を強化し、そして力により支配するという考え方の東洋豪傑君、どちらもだめだということを言っています。つまり、そういった理想主義も排除するけれども、徹底した力によ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(1)国家に経営理念があれば、もっと日本は発展する
無限の可能性に挑め…国家経営を創造し、新時代の憲法を!
松下幸之助

人気の講義ランキングTOP10
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎