破壊型イノベーションの必要性
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「破壊型イノベーション」が日本の経済成長には不可欠
破壊型イノベーションの必要性
経営ビジネス
伊藤元重(東京大学名誉教授)
中長期の日本経済を見据えたとき、ズバリ日本には「破壊型イノベーション」が不足していると伊藤元重氏は喝破する。破壊型イノベーションとは何か。なぜ必要なのか。日本は一体どのように変わればよいのだろうか。
時間:14分50秒
収録日:2014年6月16日
追加日:2014年7月10日
≪全文≫

●改良型と破壊型。イノベーションには2種類ある


 これからの日本の経済成長を考えるとき、イノベーションについて語らなければならないと思っている人はたくさんいるだろうと思います。アベノミクスでは、いわゆるデマンドサイドの投資や消費や輸出を刺激して、経済を引き上げようとしています。これはもちろん大切なプロセスですが、3年後、5年後、10年後の日本経済を見据えたときには、経済をイノベーションによってサプライサイドから押し上げていくことが極めて重要です。

 多くの人が感じていると思いますが、今、日本のイノベーションが大きな転換点に来ています。そこで今回は、経済学でよく取り上げられる二つのイノベーションの概念を軸に、今の日本が置かれている状況と課題についてお話ししたいと思います。

 イノベーションにはいろいろなものがありますが、経済学の世界では大きく二つに分類しています。一つは「改良型イノベーション」と呼ばれているもので、既存の技術を改良したり、製品の生産コストをさらに下げたり、品質を高めていく形のイノベーションを指します。例えば自動車なら、電気自動車のバッテリーの寿命を延ばすとか、ガソリンの燃費を高めるとか、さらに安全性を高めるよう装備を増やすといったイノベーションがこちらに入ります。

 もう一つ、かなり性格の違うものに「破壊型イノベーション」があります。これまでの技術やビジネスを破壊して、全く新しいものに置き換えてしまうタイプのイノベーションです。一番有名な例では、AppleのiPod、iPhoneが挙げられます。それまで、人々は主にCD・MDなどのメディアとCD・MDプレーヤーなどのデバイスで音楽を聴いてきました。しかし、AppleはiPod、iPhoneを売り出す際にインターネットのネットワーク上に音楽情報を乗せて販売する仕組みも同時に展開することで、過去のメディアやデバイスを駆逐するだけでなく、これまでの音楽ビジネスを根本から変えてしまったわけです。このようなものを破壊型イノベーションと言います。世の中では、改良型イノベーションと破壊型イノベーションの両方が混在して、さまざまな変化を起こしています。

●改良型は大企業向き。破壊型はベンチャー向き


 改良型イノベーションは、どちらかというと大企業向きのイノベーションです。対する破壊型イノベーション...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
リーダーの心得…幕末の偉人たちを育てた佐藤一斎に学べ!
田口佳史
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
桑原晃弥
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
新しい学び直しの方法と可能性
技術革新で「学び直し」は廉価に国境を越える
小林りん

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術
最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性
川口淳一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳