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高付加価値に特化し成功した「川上村のレタス」に学ぶ

グローバルとローカル~それぞれの論点の違い~

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
激化するグローバル競争の真っ只中にいる日本経済。しかし、その約7割は、グローバル競争とは全く異なるゲームのルールで動いているという現実がある。曽根泰教氏が、グローバルとローカルのそれぞれの論点の違いを明らかにし、日本経済再生に向けた本質にアプローチする。
時間:19:04
収録日:2014/09/11
追加日:2014/10/02
≪全文≫

●日本経済の約7割はグローバル競争とは全く異なるゲームのルールで動いている


曽根 今までは、「円安であれば輸出が増える」と皆が言っていました。ところが、今は昔の輸出立国、加工貿易の時代とは違うのです。現地で生産していますし、リスクヘッジもしています。

 そういう意味でいうと、経済自体においてグローバルな競争がものすごく激しくなっています。問題は、グローバルのトップが競争力を持続的に持つことができるのかということです。今までもそうでしたが、これからはより厳しくなってきます。自動車は大丈夫だとしても、家電には問題があるでしょう。それに、日本の経済自体の7割はサービス産業ですから、「グローバルなサービスセクターとは何なのか」という別の話も出てきます。

 ところが、グローバルのところで為替レートが決まっていると思っていたけれども、実はローカルのところが6、7割もあり、そこは全く違うゲームのルールで動いているのです。ここに対して、今まで通りの政策を続けていて、解決するのでしょうか。つまり、「今まで通り」というのは、「地方再生」などです。「街・人・仕事」といったことをばらまけば、選挙には勝てるかもしれませんが、地方の問題としては今、何が起こっているのかを考えなければいけません。

 これは、冨山(和彦)さんなどが前から言っているように、「人手は前から足りない」「高齢化だ」ということです。ですから、介護は大変だし、サービス業では、バスの運転手や車掌がいない、集めるのが大変だという話です。

 ですから、実はグローバルの方も半端な競争しかしていないし、ローカルの方も従来の手法でやろうとすると、2030年はまた赤字が積み上がり、それだけで経済はよくならずに終わってしまうのです。

 この辺りのことは、従来の「ばらまきはけしからん」という話ではなく、「どこに手を打つのか」「有効打とは何なのかを分かっているのか」ということです。

―― まさにそういうことですね、先生。しかし、これはすごく難しい問題です。


●約7割のローカルをどうするかを考えなければ、日本経済は立ち直れない


曽根 難しいです。このシリーズで以前、世界を目指して競争する2割、3割の人と、残りの平均的な国内で頑張っている人の違いの話をしました。例えば、英語でいうなら、日本人全員をバイリンガルにすることは無...
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