21世紀のリベラル・アーツ
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
21世紀のリベラルアーツを定義する
21世紀のリベラル・アーツ
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
未知の問題に立ち向かい、深みのある意思決定をするためには、「生きるための知的力」が必要だ。知力、すなわち、考える力が生きる力に直結する今、これからの人生を支える「21世紀のリベラル・アーツ」は、どうすれば身に付けることができるのか。大人の教養学とその学び方を説く、テンミニッツTV流リベラル・アーツを分かりやすく解説する。
時間:12分42秒
収録日:2019年1月11日
追加日:2019年3月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●21世紀のリベラル・アーツを定義する


 21世紀のリベラル・アーツの話をします。リベラル・アーツに関しては、いろいろ誤解や使用の混乱などがあり、まずリベラル・アーツとは何なのかを明確にしなければなりません。

 過去において、大学の一般教養や旧制高校から教養学部に移行した経緯や旧制高校でのデカンショ(デカルト・カント・ショーペンハウアーの略)時代の懐かしい話がありますが、これは切り離して考えます。元をたどると、ギリシャの<自由>七科(文法、修辞学、弁証法、算術、幾何学、天文学、音楽)という古い話を持ち出す必要もありますが、ここでは「21世紀のリベラル・アーツ」を考えます。

 参考にするのは、アメリカのリベラル・アーツカレッジの中でもっとも高い評価を得ているウィリアムズ・カレッジです。しかし、日本にリベラル・アーツカレッジを作ろうということではありません。ここは全寮制で小規模の大学という特徴があり、密度の高い教育をしています。また、ウィリアムズ・カレッジでは、オックスフォード大学などとは違った意味で、チュートリアル、つまり教師との対面的な授業や発表をしています。教員一人に対して二人の学生が週1回程度会って議論をするシステムもあります。


●われわれの目指す21世紀のリベラル・アーツとは


 ここでリベラル・アーツをどう定義するかです。一つは「Liberal Arts and Sciences(リベラル・アーツ&サイエンス)」、つまりリベラル・アーツとは後ろ側の「Sciences(サイエンス)」の部分を省略しているということで、テンミニッツTVでは、サイエンスをきちんと位置づけたいと思います。

 先ほど申し上げたように、ギリシャにもサイエンスもあったわけです。しかし、現代の物理学を語るときに、アリストテレスまで戻らなければならないわけではありません。AI、ロボット、遺伝子操作などのテーマが現代では重要です。ですから、このサイエンスという部分を省略しないことです。

 もう一つは、リベラル・アーツの定義の議論でいちばん肝心な問題になりますが、技術や職業教育を行うことではないということです。学部レベルの教育がリベラル・アーツカレッジの特徴ですが、大学院レベルのプロフェッショナルスクール、例えばロースクール、メディカルスクール、ビジネススクールなどとは違います。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子