カントリークラブの発想
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
メンバーシップを発揮させる仕組みの地方導入は有効?
カントリークラブの発想
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
英米のカントリークラブの発想、あるいは自律分散協調型システム、クラウドコンピューティングの構造が、日本の地方自治・地方分権を組み立て直す際の参考になるだろうと曽根泰教氏は言う。その真意を説く。
時間:8分15秒
収録日:2014年5月28日
追加日:2014年8月21日
≪全文≫

●カントリークラブは、負担と支出の関係が明瞭


 今回の話題は「カントリークラブの発想」です。ここで言うカントリークラブとは、アメリカやイギリスのゴルフクラブあるいはスポーツクラブのことを指します。このカントリークラブの発想が、いわゆる地方分権や地方税を考えるときの一つのひな形になるのではないかというのが私の意見です。メンバーシップがはっきりしているカントリークラブの会費の徴収の仕方が、ある意味で地方税を考えるヒントになると思うのです。

 日本の場合、ゴルフクラブは会員権制です。最初に多額の会員権を支払って入会し、後は固定の会費という初期投資の大きい制度になっており、私が今回話題にしている英米のカントリークラブの制度とは少し違います。英米のカントリークラブにおける会費は、前年度のクラブの支出を会員で頭割りにして、翌年徴収する形を採っています。

 日本のゴルフクラブですと、高い入会金を払ったのだからレストランの設備を改善して欲しいなどとメンバーがクラブにさまざまな要求をしがちですが、英米型の場合、余計な支出をしてしまうと翌年の自分の会費に跳ね返ってきますから、クラブの支出に皆が注意を払いますし、会員が自ら抑制的になります。つまり、「こういう改修工事をすると、翌年の会費に響きますね」というように、負担と支出の関係がかなり明瞭なので、全員がメンバーシップを最大限発揮しようとするのです。これがカントリークラブのあり方です。

●フリーライダーを減らす新たな形の分権化が必要


 このカントリークラブの発想をある意味で地方行政に導入しているのが、アメリカのタウンミーティングです。アメリカの小さな自治体では、財産税(日本でいう固定資産税)などの約半分が高校や中学校に使われていますから、親たちは高校や中学校の運営に非常に関心を持っています。そこでタウンミーティングを行うと、例えば子どもが私立の高校に通っていて税金の負担だけを背負い込んでいる人などは、無駄な使い方をしないで欲しいと訴えることも可能になります。このように納税と歳出が密接に関係するタウンミーティングのメカニズムは、基本的にカントリークラブの発想から来ているのだろうと思います。

 一方で、現在の日本の地方分権論は、このようなカントリークラブの発想とは少し異なります。日本の地方分権論には良いところもありますが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝

人気の講義ランキングTOP10
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎