集団的自衛権論議の盲点~アメリカが「リスク要因」となる可能性
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新安保が調印された時代のアメリカと今のアメリカは別物
集団的自衛権論議の盲点~アメリカが「リスク要因」となる可能性
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
湾岸戦争、9・11、イラク戦争を経て、「アメリカの正義」は絶対ではないことが露呈した。「常に正しく強いアメリカ」は過去の幻想と言っていい。集団的自衛権行使容認によって日米同盟の強化に向かおうとする今の日本は、手を結ぼうとしている相手の実像が、いったいどこまで見えているのか? 曽根泰教氏が解説する。
時間:9分03秒
収録日:2014年7月14日
追加日:2014年10月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●国連もアメリカも、常に正しいわけではない


曽根 集団的自衛権の問題で、一つ抜けている重要な点があります。それは、かつて日本が、岸信介首相の時代にいわゆる新安保条約(1960年調印)によってアメリカと同盟を再確認した時代とは、状況が大きく違うということです。

 どう違うかというと、アメリカは過去20年、30年の間にずいぶん変遷しているのです。その変遷の仕方を単純に言いますと、まず湾岸戦争(1991年)、次に9・11(2001年)、そしてイラク戦争(2003年)がありました。この間、約15年近くあります。

 まず最初、湾岸戦争のときには、ブッシュ米大統領(父)は、クウェートに侵攻したイラクに対して、当初これを正面からたたくことは考えていませんでした。しかし、サッチャー英首相にお尻をたたかれたりして、急遽、クウェートを助けることになります。クウェートを助けるだけでなく、サウジを守ることもしました。戦略があったわけです。

 次に、9・11です。これは予測できませんでした。できなかったけれども、ワールドトレードセンターで航空機のテロが発生した後、かなり早期にテロリストを明らかにできました。それによって、これはアルカイダと関係があるのではないか、という予測を各国はある程度信頼してアメリカを支持し、アフガン攻撃があったわけです。これが第2段階でした。

 さらに、2003年、アメリカはイラクを攻撃しました。イラクには大量破壊兵器があるというのが表向きの理由でした。もう一つの理由は、アルカイダ、つまりテロリストとフセイン政権は関係があるのではないかということでした。結果的には、両方とも正しくありませんでした。

 この頃、ネオコン(新保守主義)がアメリカの中心でした。そうすると、アメリカの過去の政策は、一貫しているのか、合理的なのか、理性的なのか。これはかなり疑問が出てきます。

 つまり、米軍再編一つとってもアメリカは変化しています。日本でも政権が変化すれば政策が変化しているのと同じです。例えばイラク攻撃のときのように、ネオコンのような人が政権に入り込んで、アメリカの重要な外交政策を決めてしまうことはあり得るのではないか。あるいは、ブッシュ(子)には、父親のブッシュのときの恨みがやはりあったのではないか、と。というのは、アメリカは湾岸戦争で圧倒的に勝利するわけ...

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