集団的自衛権論議の盲点~アメリカが「リスク要因」となる可能性
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
新安保が調印された時代のアメリカと今のアメリカは別物
集団的自衛権論議の盲点~アメリカが「リスク要因」となる可能性
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
湾岸戦争、9・11、イラク戦争を経て、「アメリカの正義」は絶対ではないことが露呈した。「常に正しく強いアメリカ」は過去の幻想と言っていい。集団的自衛権行使容認によって日米同盟の強化に向かおうとする今の日本は、手を結ぼうとしている相手の実像が、いったいどこまで見えているのか? 曽根泰教氏が解説する。
時間:9分03秒
収録日:2014年7月14日
追加日:2014年10月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●国連もアメリカも、常に正しいわけではない


曽根 集団的自衛権の問題で、一つ抜けている重要な点があります。それは、かつて日本が、岸信介首相の時代にいわゆる新安保条約(1960年調印)によってアメリカと同盟を再確認した時代とは、状況が大きく違うということです。

 どう違うかというと、アメリカは過去20年、30年の間にずいぶん変遷しているのです。その変遷の仕方を単純に言いますと、まず湾岸戦争(1991年)、次に9・11(2001年)、そしてイラク戦争(2003年)がありました。この間、約15年近くあります。

 まず最初、湾岸戦争のときには、ブッシュ米大統領(父)は、クウェートに侵攻したイラクに対して、当初これを正面からたたくことは考えていませんでした。しかし、サッチャー英首相にお尻をたたかれたりして、急遽、クウェートを助けることになります。クウェートを助けるだけでなく、サウジを守ることもしました。戦略があったわけです。

 次に、9・11です。これは予測できませんでした。できなかったけれども、ワールドトレードセンターで航空機のテロが発生した後、かなり早期にテロリストを明らかにできました。それによって、これはアルカイダと関係があるのではないか、という予測を各国はある程度信頼してアメリカを支持し、アフガン攻撃があったわけです。これが第2段階でした。

 さらに、2003年、アメリカはイラクを攻撃しました。イラクには大量破壊兵器があるというのが表向きの理由でした。もう一つの理由は、アルカイダ、つまりテロリストとフセイン政権は関係があるのではないかということでした。結果的には、両方とも正しくありませんでした。

 この頃、ネオコン(新保守主義)がアメリカの中心でした。そうすると、アメリカの過去の政策は、一貫しているのか、合理的なのか、理性的なのか。これはかなり疑問が出てきます。

 つまり、米軍再編一つとってもアメリカは変化しています。日本でも政権が変化すれば政策が変化しているのと同じです。例えばイラク攻撃のときのように、ネオコンのような人が政権に入り込んで、アメリカの重要な外交政策を決めてしまうことはあり得るのではないか。あるいは、ブッシュ(子)には、父親のブッシュのときの恨みがやはりあったのではないか、と。というのは、アメリカは湾岸戦争で圧倒的に勝利するわけ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎