二つのビジョンの観点:少数のトップと社会全体の違い
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「先端を伸ばす」と「全体を解決する」ではビジョンが違う
二つのビジョンの観点:少数のトップと社会全体の違い
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
「日本のビジョンの二つの考え方」で解説した論点をさらに掘り下げて、なぜ二つのビジョンの違いが生まれるのかを明示し、ビジョンや将来の戦略を描くためには何が必要かを解説する。
時間:8分13秒
収録日:2013年12月12日
追加日:2014年2月24日
カテゴリー:

●対象の違いからビジョンの違いが生まれる


 今回の話は「ビジョンの二つの違い、見方の違い」ということに関連しまして、「なぜ、そのような違いが生まれるのか」ということをお話しします。トップアスリートを伸ばすコーチの役割と、それからお医者さんの違いという、その話に関係しているわけです。

 「トップアスリートを伸ばす」とか「日本の先端的な企業、大学、研究機関を伸ばす」という話は、ビジョンを描くときに必ず出てくる話です。それと、日本がいま抱えている、例えば「社会保障費をどうやって賄うか」とか「財政赤字をどうするか」という、お医者さんとして日本を見るときは、どうしてこんなにビジョンの違いが出てくるのかという、視点や観点だけではなく対象が違うという話をしたいと思います。

 非常に簡単に言うと、「トップを伸ばす」というのは、この頂点部分なのです。数でいけば、オリンピックやワールドカップに出る人というのは何万人もいるわけではありません。トップで競争できる大学や研究機関というのも何百校、何千校があるわけではなく、ほんの数校です。ですから、大学で言えば、日本にはだいたい千ぐらいありますが、その中で、少子化で定員割れを起こしている大学の話と、グローバルで世界100位以内に入りたいという日本の大学トップ20校か30校の話とはまったく違います。「国際的なグローバルな競争をして、世界で凌ぎを削りたい」という話と、「定員割れがあって少子化で大変だ」という話は、実は違うことです。

 それと同じように、例えば日本では、ほとんどの小学校にプールがあると思いますが、プールが全部の小学校にあったとしても、そうしたらオリンピックの水泳選手、スイマーは世界でトップになれるかというと、それもまた違う。つまり「トップを伸ばす」というのは、「底辺を広げる」とか「基礎的に水泳ができるようになる」ということと一緒ではない。

 あるいは日本のかなりの家庭がピアノを持っていますが、「ピアノがある」ということと「世界的なピアニストが生まれる」ということは、必ずしも一緒の話ではありません。

 確かにJリーグのように、Jリーグがあれば頂点はかなり高くなる。その人たちがプレミアリーグに行ったり、あるいはセリエやブンデスリーガで活躍することは可能です。けれども、その人たちを伸ばすというのは、同じお医者さんで言えば先端医療のとこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
柳川範之
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
逆境に対峙する哲学(9)先人の知恵という友
本居宣長も白隠もハイデガーも友となる――大切なのは?
津崎良典
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二