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「かゆみ」の正体を科学する!最新研究で迫る皮膚の仕組み

最強の臓器「皮膚」のふしぎと最新医療(1)かゆみのサイエンス

椛島健治
京都大学大学院 医学研究科 皮膚科学 教授
概要・テキスト
『人体最強の臓器 皮膚のふしぎ 最新科学でわかった万能性』(椛島健治著、ブルーバックス)
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皮膚は目に見える非常に重要な「臓器」であるにもにもかかわらず、実はその仕組みがあまりよく分かっていなかった。しかし、近年の研究で、体の中の臓器を守るものとしてその重要性の認識が増している。今回は皮膚をめぐる最先端の研究の中から、まず「かゆみ」について学んでみたい。(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:09:00
収録日:2023/05/30
追加日:2023/08/12
≪全文≫

●皮膚は最も外にあって目に見える臓器


―― 皆さま、こんにちは。本日は椛島(かばしま)健治先生に、皮膚とかゆみについてお話を伺いたいと思っております。椛島先生、どうぞよろしくお願いいたします。

椛島 よろしくお願いします。

―― 椛島先生は講談社のブルーバックスで、『人体最強の臓器 皮膚のふしぎ』という本を書いていらっしゃいます。先生、これは最新の皮膚の知識がとても面白く分かる本で、副題にありますように、皮膚というのは「臓器」だといわれています。「皮膚=臓器」というのはまだなかなかピンと来ない方も多いと思うのですが、そこを最初にお聞きすると、これはどういうふうに理解すればよろしいですか。

椛島 そうですね。まず、この本を書いた経緯というのは、皮膚科の教科書として皮膚科医向けや医学部の学生向けというのはたくさんあるのですが、一般向けの書というのは実は全然ありません。そういう中で、皮膚というものの大切さを知ってもらいたいということがきっかけで書いたのです。

 「五臓六腑」とよくいうように、臓器というと身体の中にある胃や肝臓のように「臓」という漢字が付いたものが臓器だというように、なんとなく皆さんは思っているかもしれません。しかし、一つひとつ完結した役割を持つのが臓器であるわけです。

 その中で、皮膚という器官には汗を作る、脂を作る、バリア機能を果たすなどのさまざまな役割がきちんとあり、(体の)中にある臓器を守るものとして最も外にあって目に見える臓器ということです。

 そういう意味で、皆さんには臓器という意識はあまりなかったかもしれませんが、身体の中にあるいろいろな役割を持つ器官の中で、非常に重要な一つの臓器であるということを理解してもらいたいと思って、この本を書かせていただきました。

―― これは、本には本当に詳しく書いていらっしゃいます。例えば免疫の機能を果たすこと、外からの侵入を防ぐということでも非常に大きな役割を果たすことで、そのあたりはぜひ本のほうでお読みいただければと思います。


●「かゆみ」の正体を科学する


―― 早速ですが、今日お聞きしたいテーマの一つが「かゆみ」ということです。かゆみについては、実は最近になってようやく解明が進んできたので、まだま...
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