生命科学の現状と課題~生物研究と再生医療
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
再生医療の基盤…アクチビンは中胚葉誘導物質の重要な候補
生命科学の現状と課題~生物研究と再生医療(3)発生の研究とアクチビン
浅島誠(東京大学名誉教授/帝京大学 先端総合研究機構 機構長)
浅島誠氏は、「アクチビン」というタンパク質が発生過程の誘導因子であると突き止め、未分化細胞からのさまざまな器官や臓器の形成に成功した。これは、現在の再生医療の基盤となっている。今回は、発生における臓器や器官の形成に関するメカニズムについて解説する。(全6話中第3話)
時間:9分31秒
収録日:2018年7月30日
追加日:2019年1月13日
≪全文≫

●発生による形作りは中胚葉誘導と神経誘導によって行われる


 発生と再生科学について、1つの例を出します。日本語でいえば、私たちはよく、「氏か育ちか」ということを言います。発生に関しても、卵の中などにもともと情報が入っていて、発生とはただ単にそれが出てくるだけだという考え方がありました。形というものはそのようにしてできる、もともと決まっている、そういう考え方です。

 ところが、1924年にドイツのハンス・シュペーマンとヒルデ・マンゴールドが、「形というものは最初から決まっているのではなく、発生過程における原腸胚の頃の原口上唇部の一部に形作りのセンターができて、その誘導作用によって形というものができてくる」ということを証明しました。そうなると、世界中でそうした形を作るような誘導物質を探そうとする研究が行われました。ちなみに1935年に、シュペーマンはこの研究成果によって、ノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

 ここで、形とは一体どういうことかということを説明します。私たちの体は、頭と足の軸つまり「頭足の軸」と、背中と腹側の軸つまり「背腹軸」、それから「左右軸」という、3つの軸による三次元でできています。そうした中、丸い卵から形ができるまでには、2つの因子が必要です。

 1つ目は「中胚葉誘導」で、筋肉や脊索など、先ほど述べたシュペーマンたちが唱えたオーガナイザーの部分です。つまり、形作りのセンターができることが必要だということです。2つ目は「神経誘導」というもので、オーガナイザーの働きかけを感受していくことによって中枢神経を作っていくことです。つまり、中胚葉誘導と神経誘導を通して、私たちの形作りがなされていくわけです。


●誘導因子を探す研究の末、アクチビンにたどり着く


 そして、そういう現象が確認されたことで、その本体はどういう現象であるかという、誘導因に関する研究が世界中で一斉に始まりました。私自身も誘導因子を探すことに興味があったのですが、そうした研究は実は、世界中で50年間なされたものの、誰もうまくいきませんでした。私は学位を取った後、その研究をやりたくて日本中を探したのですが、誘導因子の研究をしている人は日本にはいなくなっており、指導教官からもやめた方がいいと言...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(7)幸福度を高める方法
幸せも不幸せも伝染する――幸せの輪を広げて世界平和へ
前野隆司