今の日本で優れたリーダーを育てられるのか
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
次代のリーダー養成校は全寮制を採用している
今の日本で優れたリーダーを育てられるのか
葛西敬之(元東海旅客鉄道(JR東海)代表取締役名誉会長)
「日本のイートン校」とも言われる、全寮制の次代リーダー養成校「海陽学園」の設立に当初からたずさわり、現在は副理事長も務めるJR東海の葛西敬之名誉会長が、海陽学園における人材育成、そして日本社会のリーダー育成について忌憚なく語る。
時間:8分30秒
収録日:2014年4月15日
追加日:2015年1月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●いろいろな人の能力をそれぞれ最大限度伸ばしていく


―― リーダー教育を掲げて、海陽学園を作られました。日本ではリーダーを育てる教育が弱くなってきていると思うのですが、リーダー教育についてどうお考えでしょうか。

葛西 私自身、リーダーそのものを育てる教育というのが本当にあるのかないのか、実はまだよくわかっていないのです。ただ、いろいろな能力持った人が一つの学校へ集まってきますので、その能力をそれぞれ最大限度伸ばしていけばよいと考えています。その中は、リーダーシップを持っている人もいるし、サイエンティストとしての才能やアーティストとしての才能を持っている人もいます。いろいろな人間の能力を最大限度伸ばしてあげなくてはいけません。それが学校教育の一つの使命で、いわば「一つの組織のリーダーを育てる」と決めてかかったら、明確な方法があるわけでもないと思っています。


●人慣れしていない子どもたちが増えている


葛西 ただ、一つ言えることがあります。最近の世の中は、どうも「人間が孤立している」という欠点があると思うのです。「人慣れしていない」ということです。

 例えば、昔であれば、兄弟姉妹も多く、両親・祖父母やいとこなども周りにたくさんいて、さまざまな形でたくさんの人と接触をする機会がありました。わが子の世代でも、例えばわれわれ家族は会社の宿舎に住んでいましたから、宿舎内には同年代の会社の同僚の子弟がたくさんいたので、子どもたちは人間同士の接点というものをいろいろな形で経験していたと思うのです。学校から帰ってきて友だちと遊ぶという時間もあれば、いろいろな人と接する体験をすることができるような状況でした。

 ところが、最近では、学校が終わって帰ってきたあとの時間は、学校で十分なことを教えてくれなかったために、塾に行く時間としてまず最優先に確保されます。それから、塾から帰ってきたあとの時間は中途半端で、友だちと遊べるような時間帯でもないので、最近ではさまざまなコンピューターゲームのようなものがありますから、一人で遊びます。学校に行って、塾に行って、一人で宿題やって、一人で遊ぶ。両親は共稼ぎ。それから兄弟はいないとか、一人っ子が多いということもあってか、どうも「人慣れしていない」というのが、今の子どもたちの特色かもしれません。

 そうすると、そういう子どもたちが社...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥