●今回の民主党代表選挙はこれまでより良かった
―― 今回、民主党の代表選では、経験が豊富で、副総理や外務大臣、党の代表などを歴任された岡田克也さんが改めて代表に選出されました。また、長妻昭さんが代表代行に、細野豪志さんが政調会長に、さらに蓮舫さんも代表代行に投入されました。先生は、このことをどのようにご覧になっていますか。
曽根 代表選を上手に使ってこなかった過去の民主党に比べて、今回はまだ少し良かったと思います。今まで、民主党の代表選は、前の代表がスキャンダルなどで突如辞め、すぐに行われていましたから、代表選で党の政策や方針が一致することはありませんでした。代表選をきっかけに党内が分裂することはあっても、世論の支持を増やしたことや、一致団結して次のステップに進んだ例はなかったのです。これまでは、代表選で体力を消耗しただけでした。
今回も、日取りやスケジュールの設定はあまり上手ではありませんでしたが、少しは代表選の格好になりました。ですから、うまくやれば、これをきっかけに政策ラインの統一、党の団結、支持の回復もできるでしょう。ただし、岡田代表で次の選挙に勝てるか、民主党がもう一度政権を取ることができるかと言えば、今の段階ではそこまでは来ていません。
●野党の間に長期的方針は定めた方がいい
曽根 今の民主党は、考えようによっては人材がたくさんいますが、考えようによってはほとんどいません。これは見方によります。自民党も人材豊富だという人もいれば、相当少ないという人もいます。
ポジティブに考えれば、人材がいなければ育てたらいいのです。岡田さんを変えることは難しいでしょう。今も議員などとの食事は割り勘で済ませるという「岡田割り勘伝説」がある人です。私も新聞記者から、「岡田さんは自分の分を6000円置いていきます」という話と、「8000円置いていきました」という2種類の話を聞いたことがありますが、両方とも正しいようです。そのくらい生真面目な人で、もう変わらないでしょう。かつて岡田さんは副総理の時代に、官邸や官房などで取っている新聞や雑誌の購読部数を減らすマイクロ行革を行い、微々たるお金を浮かして、何人もの新聞記者を敵に回しました。そのような経験をしたことで、時にはおおらかさや戦略が必要なことは、さすがに少しは分かってきただろうと思います。
ただ、...