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アベノミクスの総合評価―第一の矢と第二の矢

アベノミクス2年の評価~第一の矢と第二の矢

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
先の衆院選で、日本はこれから4年間、安倍政権に命運を委ねることを選択した。島田晴雄氏は、だからこそ今、「アベノミクス」とは何なのか、その課題はどこにあるのかを、しっかりと考え理解しなければならないと語る。アベノミクスの深層に迫り、日本経済を考える。(2015年1月26日開催島田塾第120回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 アベノミクス 2年間の経験とこれからの日本経済」より、全10話中第1話目)
時間:15:13
収録日:2015/01/27
追加日:2015/02/12
カテゴリー:
≪全文≫

●「安倍政権でこれから4年」を念頭に「アベノミクス」とは何なのかを考える


 「アベノミクス2年間の経験とこれからの日本経済」というテーマでお話しします。

 安倍晋三首相が選挙で勝って、気が付いてみたら、順当にいけば、あと4年間は安倍政権なのですね。これからの4年間は、多分日本の大きな転換期で大変だと思うのですが、そのようなときに全部、安倍政権にわれわれは命運を委ねるような格好になるわけです。

 「アベノミクス」と言われていますが、本当のところ、アベノミクスとは何なのかということを、過去のことも踏まえながらじっくり理解して、問題があるのならあるように、また課題が何なのかということも確認しておく必要があると思った次第です。今日は、ちょうど「島田塾」の講義も120回のいい節目ですし、年頭にも当たっていますので、皆さんと一緒にアベノミクスを考えてみたいと思います。2時間という特別な時間をいただいていますけれど、一緒に考えたいと思うのですね。


●過去最低の投票率で国民の信認を得たか?-アベノミクスの真価を見極める時


 まず衆議院選挙ですけれども、自民党は圧勝して与党で326席を取っています。衆議院の絶対安定多数が266席ですから、何をやっても大丈夫というようなことになったわけです。ところが、投票率が52.66パーセントで、戦後最低でした。前回よりも7パーセント近くも低いのです。

 このことは、非常に世界中の関心を呼びました。『フィナンシャル・タイムズ』紙をはじめ、いろいろな新聞が、「自民党は確かに大勝したけれども、得票率が低く、野党が準備不足でかなり混乱しており、国民にとって他に選択の余地がない選挙だったのではないか」と書いています。また、「アベノミクスへの信任を問う、と安倍首相は言ったが、自民党が勝ったからといって、国民の信認を得たかどうかは不明だ」というのが、多くの新聞の論調です。

 ただ、今申し上げたように、この結果、国民は安倍政権に4年間命運を託すことになるので、本当によく見つめていかなければいけません。

 安倍政権の最大の課題は、恐らく経済を本当に浮揚させられるのかどうか、ということです。実質賃金の向上、財政問題、社会保障問題、全てしっかりとアベノミクスが成功して成長してくれないと、これらの問題は解けないので、しっかり見ていかなければいけ...
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