創造的復興 ~震災から3年、民間活力とリスク予想に基づく宮城の挑戦~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
県民が自分の力を使い自分の足で立っていける県土をつくる
創造的復興 ~震災から3年、民間活力とリスク予想に基づく宮城の挑戦~
村井嘉浩(宮城県知事)
マグニチュード9.0の大地震と津波の直撃を受けた宮城県では、3年目の現在、県土の創造的復興に向けた抜本的なチャレンジが始動している。税金を使い旧態へと戻す復旧には何が足りないのか?村井知事が復興の現場から熱く語る。
時間:13分14秒
収録日:2014年2月14日
追加日:2014年2月24日

●震災の復旧は50年先を見据えて


 宮城県知事の村井嘉浩でございます。東日本大震災から3年が経ちました。

 震災直後の宮城県は、本当に大変な状況でした。昭和53年にマグニチュード7.4の宮城県沖地震を経験したわれわれは、マグニチュード8.0を想定した準備をしてきました。しかし、今回の大地震は、マグニチュード9.0。8.0と9.0のエネルギー差は、32倍だそうで、想定をはるかに超える甚大な被害が生じたということです。

 震災の直後に心がけたことは、まず県民の皆さまの命を守ることです。その後、約1ヶ月が経ち、少し落ち着いてくると、ただ単に元に戻していく復旧では、わが地元は時間の経過とともに残念ながら衰退するしかないだろうと考えました。そこで、この機会に10年から20年、できれば50年ぐらい先を見据えた県土を作っていこう。作らなければならない。そのように心を決めたのです。


●県主導の「創造的復興」で、民間活力の導入を


 通常こうした(大規模災害の)場合は、国が復興計画を作り、その計画を見ながら県の計画、市町村の計画を作っていきます。しかし、今回はその方式では時間が足りないと考えました。そこで、まず県の計画をしっかり作り、県の計画に合わせた国の計画を作ってもらおうと目論んだわけです。

 そこで、4月には復興計画の策定に取りかかり、約2ヶ月半かけて形としました。それを国にたびたびぶつけ、結果的にはその年の11月に法律改正が行われます。新たな法律が作られ、財源も確保してもらうことができました。

 これらの動きを一言で言うと、「創造的な復興」をぜひ実現したいという気持ちの現れです。
 
 税金を使って復興を成し遂げるのも重要なことですが、単に箱ものを作るだけの復興であってはなりません。県民の皆さまが、自分の力を使い、自分の足で立っていける県土を作っていくためには、民間の力をうまく活用した復興をするべきだと私は考えました。いろいろと盛り込んだ県の復興計画のなかで、最も注力したのもその部分です。


●総論賛成、各論反対の「水産業復興特区」


 例えば、「水産業復興特区」では漁業権を民間に解放するともに、しっかりした高さの防潮堤を作っていくこと等を書き込んでおります。実はこういうことは、皆さん総論では賛成をされます。しかし、いざ各論になりますと、必ず強い反対意見が出てくるのです。

 昨年の9月に、「...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
デカルトの感情論に学ぶ(2)感情をコントロールするには
恐怖をなくす方法と感情のコントロール…デカルトの考え方
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(2)「ほめる」技術
男性は「ほめる」のが苦手?傾聴から始まる「ほめる」技術
三谷宏治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ