飽和の時代を迎えた日本に欠けているものとは?
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「成長の限界」を認めることで、その先も見えてくる
飽和の時代を迎えた日本に欠けているものとは?
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
先進国はすでに飽和の時代を迎えている。それは、1972年にローマクラブが報告書『成長の限界』で示していたことだが、「それを認識することでその先も見えてくる」と株式会社三菱総合研究所理事長・小宮山宏氏は語る。しかし、日本には、議論を進めるとき、透明性とロジカルさが足りないという問題があった。
時間:9分35秒
収録日:2015年2月5日
追加日:2015年4月23日
≪全文≫

●供給が過剰で需要が減った時代、原油価格の下落は朗報


小宮山 最近、オイルの値段が半分に下がりましたね。それを「瞬間的だ」と言う人もいれば、「長いよ」と言う人もいるけれど、これは需給の反映であることは間違いありません。オイルは、ずっと足りなかったのです。以前から、「オイルなんて探せばどこにでもある」と言っていた人もいるけれど、シェールオイルが出て、それが現実のものとなったのです。最大の輸入国だったアメリカが輸出国になったと同時に、中国が減速したからたまたまだと言うけれど、そんなことはありません。中国の減速は時代のトレンドで、高度成長から中成長、低成長へと移っていく過程です。次にインドがどう立ち上がるかという問題はあるけれども、たとえ立ち上がっても、余剰の時代に入ったと、私は思っています。

 ですから、オイルの値段が少なくとも200ドルまで上がっていくということは、あまり考えなくてもよくなりましたね。なぜなら、200ドルまで上がるのなら、ブラジルは7000メートルの地下から油を掘れば、まだまだあるよという話になるからです。そうすると、量はたっぷりありますし、サウジアラビアはオイルの原価が10ドルですから、「俺たちはどこまででもやるよ」と言い出すでしょうね。

 つまり、今は供給が過剰で需要が減った時代なのです。そういう意味で、モデルが非常に大きく変わるし、世界経済にとって、特に日本経済にとって、オイルの値段が下がるのは朗報ですね。

 ただ、そのとき、マクロの経済学者が言うように、オイルの値段とともにガソリンの値段が下がったから、それに応じてどれくらいガソリンの需要が増えますか? という議論は、今までほどには動かないのです。ガソリンの値段が160円から130円位に下がり、明らかにガソリンの需要が増えたという説はありますが、それは、昔マクロ経済が予測したほどではないのです。

 なぜかというと、自動車の数はほぼ飽和状態で、燃費も良くなっているという背景があるからですね。世界中の先進国は、どこもそうだと思います。


●飽和を認めないとその先も見えない


―― 先生がおっしゃっている飽和型になったとき、成長する産業として人間が喜んでお金を使うものは何か、そちらのイノベーションを考えない限り、解決策はないですよね。先生は以前、「ローマクラブは成長の限界を示したけ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
もっと知りたいイヌのこと(1)イヌの歴史を振り返る
オオカミはいつイヌになったか…犬の起源と家畜化の歴史
長谷川眞理子
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
老荘思想に学ぶ(3)「過度」を戒める「道」の思想
実力、実質を伴わずにやり過ぎるのは愚の骨頂である
田口佳史
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
もののあはれと日本の道徳・倫理(4)「なあなあ」の日本ともののあわれ
「なあなあ」と自粛警察…大和魂と漢才の対から見えるもの
板東洋介
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎