2015統一地方選中間総括
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
地方議員は相変わらず個人選挙―選挙制度改革の必要性
2015統一地方選中間総括
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
政治学者・曽根泰教氏が、2015年4月に行われた第18回統一地方選挙の前半戦を読み解く。今回の選挙でも、従来通り、政党より候補者個人に投票する傾向が強かった。このままでは、政治のアイデアは個人止まりであり、政党に集約されない。解決困難な問題が山積する地方政治だからこそ、選挙制度や議会のあり方を考える「そもそも論」が必要だ。
時間:10分28秒
収録日:2015年4月16日
追加日:2015年4月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●低投票率だった2015年統一地方選前半戦


 統一地方選の前半の結果を分析してみます。特徴の一つは、投票率が低かったことです。これは関心が低かったということもあるし、盛り上がりに欠けたことも原因です。結果的に、知事などは、現職が勝ったケースが多く、現状維持的な側面が強いと言えます。

 自民党は、相変わらずそこそこの結果を出しました。共産党も、割と議席が取れました。これは現政権、すなわち安倍政権批判の受け皿として、自分たちの存在感を示すという共産党の手法の結果です。民主党などと同じ野党ですが、政権獲得は関係ないけれども現政権に対抗し批判するという野党としての役割ですね。

 それに引き換え、民主党は相変わらず議席が伸びませんでした。もともと民主党は、あまり地方選挙には強くないのですが、それでもその議席がさらに減り、あるいは伸びなかったのは、かなり深刻な問題です。果たしてこれが底打ちなのか、あるいはまだ下がるのかという論争がありますが、民主党におけるローカルモデル、すなわち地方選挙のモデルというのは、本当にあるのだろうか? というのが、今回の選挙で気が付いたことです。


●地方政治で改革すべきは選挙制度だ


 それに関連して言いますと、地方選挙については、その選挙制度にもっと注目をすべきだというのが私の意見です。これは前から主張していることです。首長、すなわち知事や市長は一人区ですから、これは小選挙区で分かりやすいのですが、県会議員レベルになりますと、人口が多い所は中選挙区ですが、例えば郡部など少ない所は一人区であり、制度が混在しています。この混在した制度が、一つの問題になります。もう一つは、市会議員選挙です。こちらは全市一区でありながら、有権者は一人一票です。ですから、個人選挙の性格が非常に強くなるのです。

 日本の地方政治の改革をしなければならない場合、どこからスタートすべきかというと、実は、この地方議会選挙の選挙制度を変えることが非常に重要です。しかし地方を語るときには、そのほとんどが行政上の問題や、大阪都構想のような政令指定都市の二重行政問題といった話が中心です。道州制の話でも、選挙制度をどうするのかということはあまり議論されないのです。

 しかし実は、この選挙制度が改革の中心であるべきです。地方選挙を今の制度で続けている限り、個人選挙や無所...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠