●住民投票の具体的方法を考える必要がある
大阪都構想では、橋下徹さんが代表を務めた維新の党が敗れたわけですけれども、結果は非常に僅差でした。この大阪都構想と住民投票はどういうものであったのか、少し整理してみたいと思います。
まず住民投票は、基本的に賛成の人も居るのですが、今回のように、その結果によって決定につながるという住民投票は例が少なく、参考にするという住民投票が多いわけです。片方では、投票率が高かったこともあり、「民主主義は素晴らしい」という評価がありながら、「いやいや、この住民投票というものはかなり危ないぞ」と考えている人も居るわけですね。
そもそも住民投票をどう考えるべきなのか。これについては、憲法改正に至る国民投票の予行演習だったのではないかと見る人も居ます。そうなると、国民投票、あるいは、住民投票はもっといろいろな条件が必要で、つまり、「国民、住民、市民が参加できるからいいのだ」「民主主義なのだ」という説は、もう少し付属する条件が必要だという話につながってくるわけです。例えば、論点は十分に整理されて、選択肢が明確に示されているのか。十分な情報と議論が前提にならなければいけないけれども、情報提供と討論の場は十分に確保されていたのか。あるいは選択肢、つまり、大阪都構想の選択肢は、これが本当の選択肢だったのかなど、反省材料はたくさんあるわけです。
そういう意味で、今後国民投票を行うためには、住民投票や国民投票の仕方、つまり、法的にどうするかということもさることながら、具体的な運営の方法を相当に考えなければいけないということが、今回の結果から一つ分かったことなのです。
●道州制論にもつながる政令指定都市問題
二番目は大阪都構想についてです。これは政令指定都市問題、とりわけ二重行政問題ということで問題が提起されたわけですが、ただ、政令指定都市というのは大変厄介で、道州制を考えるときにも政令指定都市という巨大都市をどう扱ったらいいのかという問題もあります。また、われわれは、地方分権はいいことだと言っているけれども、地方分権を政令指定都市を中心に発達させるべきなのか、つまり、基礎自治体というけれども、100万人を超えた規模はやはり巨大すぎるのではないかなど、いろいろな問題があるのです。
今までも、例えば、宮城県における仙台である...