大阪都構想
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
そもそもどのような構想か、住民投票をどう考えるべきか
大阪都構想
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
大阪都構想は2015年5月に住民投票が行われ、僅差ながら否決となった。そもそも大阪都構想とはどういったものなのか、住民投票をどう考えるべきなのか、ここで整理しておく必要があると政治学者・曽根泰教氏は言う。政令指定都市問題をはじめ、道州制論や大阪自体の話も含め、今回の結果から見えてきた問題点を曽根氏が解説する。
時間:13分53秒
収録日:2015年5月25日
追加日:2015年5月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●住民投票の具体的方法を考える必要がある


 大阪都構想では、橋下徹さんが代表を務めた維新の党が敗れたわけですけれども、結果は非常に僅差でした。この大阪都構想と住民投票はどういうものであったのか、少し整理してみたいと思います。

 まず住民投票は、基本的に賛成の人も居るのですが、今回のように、その結果によって決定につながるという住民投票は例が少なく、参考にするという住民投票が多いわけです。片方では、投票率が高かったこともあり、「民主主義は素晴らしい」という評価がありながら、「いやいや、この住民投票というものはかなり危ないぞ」と考えている人も居るわけですね。

 そもそも住民投票をどう考えるべきなのか。これについては、憲法改正に至る国民投票の予行演習だったのではないかと見る人も居ます。そうなると、国民投票、あるいは、住民投票はもっといろいろな条件が必要で、つまり、「国民、住民、市民が参加できるからいいのだ」「民主主義なのだ」という説は、もう少し付属する条件が必要だという話につながってくるわけです。例えば、論点は十分に整理されて、選択肢が明確に示されているのか。十分な情報と議論が前提にならなければいけないけれども、情報提供と討論の場は十分に確保されていたのか。あるいは選択肢、つまり、大阪都構想の選択肢は、これが本当の選択肢だったのかなど、反省材料はたくさんあるわけです。

 そういう意味で、今後国民投票を行うためには、住民投票や国民投票の仕方、つまり、法的にどうするかということもさることながら、具体的な運営の方法を相当に考えなければいけないということが、今回の結果から一つ分かったことなのです。


●道州制論にもつながる政令指定都市問題


 二番目は大阪都構想についてです。これは政令指定都市問題、とりわけ二重行政問題ということで問題が提起されたわけですが、ただ、政令指定都市というのは大変厄介で、道州制を考えるときにも政令指定都市という巨大都市をどう扱ったらいいのかという問題もあります。また、われわれは、地方分権はいいことだと言っているけれども、地方分権を政令指定都市を中心に発達させるべきなのか、つまり、基礎自治体というけれども、100万人を超えた規模はやはり巨大すぎるのではないかなど、いろいろな問題があるのです。

 今までも、例えば、宮城県における仙台である...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環