エネルギー自給国家の実現
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2050年には国産エネルギー自給率7割へ
エネルギー自給国家の実現
科学と技術
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
日本がエネルギー自給国家になるために重要な二つのキーポイントとは何か。そして、それらの着実な実践が21世紀の日本にとっていかに重要であるかを考え、世界に示すべき自給国家モデルを論じる。
時間:8分48秒
収録日:2013年12月6日
追加日:2014年5月26日
≪全文≫

●エネルギー自給自足の鍵は省エネルギーと再生可能エネルギー

エネルギーに関してお話をしたいと思います。私は、結論的には遅くとも2050年、できれば2040年頃に、日本はエネルギーの70パーセント以上を自給する国家になっているべきだと思います。
それを実現する鍵として一番重要なのは、省エネルギーです。その次に再生可能エネルギーです。この二つが重要なのです。
省エネルギーと言ったときに、一般の方はどちらかと言うと、「エアコンの設定温度を冷房のときには高くしよう」「28度ではなくて29度で我慢しよう」「電気をどんどん消そう」などということを考えます。しかし、技術屋が省エネルギーと語るときには、エネルギー効率の向上を考えます。「28度が少し暑ければ27度でもいい。しかし、その温度に設定するエアコンの効率を上げよう」とか、あるいは「家の断熱をよくしてエネルギーの消費を減らす」というように考えます。

●効果的手段その1-効率化の省エネ

私は、前者のほうを「我慢の省エネ」、後者のほうを「効率化の省エネ」と呼んでいます。両方大事なのですが、効果としてやはり大きいのは効率の向上なのです。例えば、これから冬に向かいますけれども、これは暖房を考えてみるといいですね。暖房のエネルギーというのは、実は本当の意味で言うと100パーセント無駄なエネルギーなのです。世界で一番たくさん使っているエネルギーは、暖房と自動車です。ですから、いらないところにエネルギーを使っているというのは、本当にもったいない。
これはどういう意味か、暖房を何のためにするのかと言うと、みなは「寒いから熱を入れる」と思っているのですが、部屋は実はすでに暖かくなっているわけで、20度を超えた暖かい部屋になぜ熱を入れ続けるのかということになります。
考えてみると、あれは温度を上げているのではないのです。熱を入れたら温度は上がるはずなのですが、上がらないで一定です。なぜかと言うと、熱が家の外に出ていくからですね。ですから、極論すると部屋が魔法瓶になったら、一旦上がった温度は暖房機を切ってしまっても下がらないということになります。つまり、暖房というのは、部屋の中を暖めたつもりになっているけれども、外を暖めているのです。
だから100パーセント無駄なのです。暖房でエネルギー効率を上げるというのは、家の断熱をよくするというこ...

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