日本が成し遂げた四つの偉業
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
高度経済成長期のすさまじい公害を日本は見事に克服!
日本が成し遂げた四つの偉業
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
「日本の若者に如何にして自信を持たせるか」ということは、「大人が何に自信を持っているのか」とほとんど等しい。自信を持つ根拠として、日本が明治維新後、さまざまな課題を克服し、成し遂げてきた四つの偉業について解説する。
時間:10分24秒
収録日:2012年11月10日
追加日:2014年5月31日
教育論という話がよくありますが、若い人にどうやって自信を持たせるかが非常に重要になってきて、これは大人が何に一体自信を持っているのかということとほとんど同じなのです。私は自信を持つ根拠があると思っている。それは四つある。


●明治維新後、日本がいち早く先進国にのぼりつめた理由


 一つは、日本は西欧の国以外で初めて先進国になった国であるということ。これは、産業が歴史上どのように動いてきたかを考えてみると、1~2万年前くらいの間に各地で農業が始まったのです。それまで狩猟生活をしていたのが農業によって定住して食べられるようになった。この時代が極めて長く続いた。これがいつまで続いたかというと産業革命がおこるまで、300年くらい前まで続いた。この間ほとんどの人が農業で食べていた。100人のうち99人が農業をしないとみんなが食べられなかった。こうした時代によく言われるのは、400~500年昔、アジアがGDPの6割を占めていたと言われるけれども、それはアジアに6割くらいの人間が住んでいたということで、一人当たりの所得というのは食べる量のことですから、殆ど決まっていたわけです。

 ここからイギリスに始まった産業革命が起きて、産業革命をやったところの生産性があがって、これらの国が先進国となっていったわけで、残りが途上国として取り残されていった。

 日本は欧米で産業革命が始まった時には鎖国をしていたから、明治維新、開国をして一気に先進国化するわけです。その間2度、日清日露の戦争と太平洋戦争の時、戦争の疲弊で2回へこんでいますが、長期で見れば明治維新で開国してから一気に先進国にのぼりつめたのが日本で、この他の国は殆どが植民地になったわけです。

 そういう状況から脱して初めて、日本の次に高度成長を遂げた大きな国というのは韓国しかないわけです。韓国が高度成長を遂げたのは1980年頃ですから、日本よりも120年近く遅れて始まったわけで、明治維新以降、先進国というのは西欧と日本しかなかったわけです。

 これが日本の偉業で、なぜそんなことができたかと思うと、江戸時代も決して途上国ではなかったからだと思います。それは教育システムを持っていたし、寺子屋が当時1万5千あったけれども、これは今の小学校の数と同じくらいです。高等教育としての藩校が日本中に整備されていて、これは大学です。また情報システムも持っていました。飛脚制...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(4)トランプ大統領VS.中国
トランプ政権は実は与しやすい?…ディールで「時間稼ぎ」
垂秀夫