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健康寿命が延びれば医療費問題解決にも資する!

セブンマイナスプラン~平均寿命と健康寿命の差~

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
情報・テキスト
平均寿命と健康寿命の差である7年を如何に縮めるかという「セブンマイナスプラン」。健康寿命の概念や平均寿命と健康寿命の差の動向、健康寿命を延ばすための厚労省の取り組みなどを紹介しながら、このアイディアの本質的な意義について解説する。
時間:06:24
収録日:2013/11/15
追加日:2014/03/13
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≪全文≫

●平均寿命と健康寿命の差の7年を縮める「セブンマイナスプラン」

今日は「セブンマイナスプラン」というお話をします。
「セブンマイナス」とは何のことかと、たぶんお思いでしょうけれど、実は平均寿命と健康寿命の差が7年間あるのです。この7年間を縮める、つまり「セブンマイナス」。例えばこれが6年になる、5年になるというのが計画、プランとして成り立つかという話です。

●平均寿命と健康寿命の差は変わらないという問題

この健康寿命という概念は比較的新しく、WHOが2000年頃から提唱していることで、既にわが国でもかなり広まっていますが、実はこのWHOの定義と厚生労働省の定義が違い、WHOの場合、日本は平均寿命と健康寿命の差は7年ですが、厚生労働省の定義ではもっと長く、9年や10年になっています。
問題は、この差を今後いろいろな方法をとることによって縮めることができるのかということですが、例えば平均寿命が1年延びるとしても健康寿命のほうも1年延び、その差の7年は縮まらないということが一つ見られる現象なのです。
2000年に入りまして、2002年と2007年、5年間の差がありますが、健康寿命は日本の場合は75歳から76歳に1年延びたのです。しかしながら平均寿命のほうも82歳から83歳に1年延びた。差の7年は変わらない。こういうことです。

●健康寿命と平均寿命の差は広がっていくという予測

そうすると、今後これが短くなるのか、それとも平行、つまり7年のまま続くのかという問題があります。
厚生労働省では、健康寿命と平均寿命の差は今後広がっていくだろうと予測しています。つまり健康寿命のほうはそれほど延びないが、平均寿命のほうは延びていき、その差が今よりも広がるのではないかということです。
厚生労働省では、先ほど言いましたとおり、その差が7年ではなくて9年とか12年とか、男女によって相当違いがありますし、あるいは市町村や都道府県によって相当差があるのが、この健康寿命、平均寿命のデータです。

●病気か健康かは自己申告という問題

そうすると、ここをどのような形で縮めることができるのか。病気でないということが健康寿命なのですが、この「病気でない」という定義がなかなか難しくて、要介護1という人はまだ健康のほうに入れ、2から5までは病気のほうに入れるなど、なかなかここを定義するのが難しいのです。
また「日常生活に制限のない期間」というのも厚生労働省が使っている概念ですが、これも自己申告になるのです。あるいは「自分が健康であると自覚している期間」の平均ということになると、これも自己申告。そうすると、どうしてもその期間が長くなってしまうのです。

●健康寿命を延ばすことが医療費問題解決の一つの方法に

ただ、健康寿命を延ばすために、今までいろいろなことを努力してきたわけです。
食事であるとか運動であるとか日常生活、あるいは精神衛生、いろいろありますが、厚生労働省では、1.栄養・食生活 2.身体活動・運動 3.休養・こころの健康づくり 4.タバコ 5.アルコール 6.歯の健康 7.糖尿病 8.循環器病 9.がん という具体的な項目を挙げています。しかし、たぶんこれだけですべてではないと思います。
そして、これは厚生労働省の政策として行うという意味もありますが、お医者さんや食事の専門家、社会学者や精神医、整体や気功など、いろいろなことをやっている人たちとの総合的な知恵によって健康寿命を延ばす。そして7が6になる、あるいは6.5になるというようなことです。
そして、そのことは何を意味するかと言うと、日本の医療費というのは、高齢者あるいは健康でなくなってから平均寿命に達するまでが非常に高額にかかっているわけです。そういう意味で社会保険や社会保障、特に医療に関する根幹部分の問題を迂回的な方法ですが解決する方法であると言えます。そういう意味で「セブンマイナスプラン」というのは、一つのアイディアとして今後追究していきたい政策であり運動であると思います。
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