霞が関と力を合わせて~本当の政治主導と政権運営で大切なこと~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
政権運営とは坂道で雪だるまを押し上げていくようなもの
霞が関と力を合わせて~本当の政治主導と政権運営で大切なこと~
政治と経済
野田佳彦(衆議院議員/第95代内閣総理大臣)
リーマンショック直後、財務副大臣、財務大臣として、財務省の人たちとともに厳しい予算編成を進めてきた野田佳彦氏。国難の中での霞が関での経験が、その後の政権運営に如何なる影響を及ぼしていったのか。そして本当の政治主導とは如何にあるべきかを語る。
時間:7分26秒
収録日:2014年2月27日
追加日:2014年3月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●政治主導か官僚主導かの争いではないことを実感


---- 次は、霞が関と野田さんの接点についてですが、民主党が政権を取り、財務省に財務副大臣と財務大臣という形でリーダーとして入られて、「霞が関を大切にしなければいけない」とより強く感じた部分があったと思います。野田さんが中から見た日本の霞が関というものを、財務省の体験を交えてお話しいただければと思います。

野田 私は、2009年の9月に政権交代をしたあと、財務副大臣になるのですが、当時、藤井(裕久)財務大臣を支えて、予算編成や税制改正を補佐しながらやっていくことになります。特に予算編成は、実務的に事実上の責任者としてやっていたのです。
そのときはリーマンショック直後で、税収が大きく落ち込んでしまった中での編成となり、それは困難を極めました。一度自民党が作った補正予算を見直し、新たに補正予算を作り直して、10月になりました。それからすぐに次の新年度の予算編成があるという、とてもタイトな日程でした。そんな中、身近にいた財務省の人たちの働きぶりをずっと見ていたのです。
その頃は、月に300時間以上の、いわゆる残業をしている人がかなりいました。300時間といったら、尋常ではないですよね。中には、2ヶ月で10キロやせる人もいました。睡眠不足はやはりやせるのですね。
ということも含めて、ふらふらになりながら、でも国の予算はきちんと自分たちの責任で作らなければいけません。そして他省との交渉もあります。財務省の人たちのそのような姿を見て、政治主導という言葉を履き違えていたのではないかなと思ったのです。それまでは、官僚主導か政治主導かのイニシアティブ争いをやっていたキライが少しあったのですが、そうではないだろうと思いました。国難といった状況の中で、国のために、黙々と志を持って働く人がいる。2ヶ月で体重を10キロ減らす人もいる。そういった人たちを、ただ役人だからといって、政治主導でついて来いということは、違うのではないかと思ったのです。
ですから、彼らの意見もよく聞きながら物事を進めていく、その責任を持つことが政治主導であり、単にイニシアティブ争いをするのは不毛だなと感じました。


●政府全体で共有したい思い~役人の力なくして政権運営はできない~


---- 野田さんの場合は、財務省の副大臣をやられてから財務大臣になりま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
政治学講座~選挙をどう見るべきか(1)選挙の意味
選挙と政治権力…「選挙に勝つ」とはどういうことか?
曽根泰教
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
老年が惨めと思われる4つの理由とは…キケロの論駁に学べ
本村凌二
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(2)ヒトの子育てと脳の関係
チンパンジーは乱婚、ヒトは夫婦…人間の特殊性と複雑性
長谷川眞理子
『江戸名所図会』で歩く東京~上水と十二社(1)「水の都」江戸の上水道
玉川上水の歴史…約8カ月で完成?玉川兄弟の功績とは
堀口茉純
編集部ラジオ2025(20)納富信留先生の「アカデメイア」講義
プラトンのアカデメイアからテンミニッツ・アカデミーへ
テンミニッツ・アカデミー編集部