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DATE/ 2020.03.16

在宅勤務なのに出社?テレワークの「限界」

 近年耳にすることが増えた「テレワーク」。時間や場所の制約を受けない働き方は大きく注目され、東京オリンピックでの通勤時の混雑緩和に向けてや新型肺炎の流行によって、テレワークを導入する企業も増えています。

 しかし、アドビシステムが2020年3月に実施した調査によると、テレワークで働いているときにやむなく出社した経験がある人が64%にのぼっていることが分かりました。さらに、そもそもテレワークを実現できないという仕事もあり、テレワークの限界が浮き彫りになりつつあります。今回は筆者の周りの人にアンケートをとり、どのような課題が浮き彫りになったのかを調べてみました。

出社しないと業務ができない

「仕事で使っている専用システムが社内じゃないと使えない」
「デスクトップPCを使っているので、会社にこないと仕事ができない」

 テレワークを実施する上で大きな問題になるのがハード面です。これまでは社外で作業することが想定されていなかったため、さまざまな設備が社内でしか使えない環境にあることは珍しくありません。それらを社外でも使えるようにするには会社をあげての対応が必要となります。

 さらに「やりとりする書類に捺印が必要なので出社する必要がある」という声も。テレワークに欠かせないのがペーパーレス化ですが、契約書などの書類では未だに捺印が欠かせないこともあります。最近では書類のデータ化が進みデータのみでやりとりが完結することもできるようになりましたが、社内や社外での段取りを整える必要があるので、今すぐの対応は難しいのが現状といえるでしょう。

作業環境が会社と同等の環境ではない

「普段扱うデータの容量が大きく、ポケットWiFiだけでの作業は難しい」
「印刷物のプリントができないのが困る」

 会社だけでなく、作業環境もテレワークに向けた壁になっています。自宅やカフェなどの作業場所と会社では環境が、当然ですが同じではありません。ネットはつながるけど社内ネットワーク環境ではないのでメールや社内ツールにはつながらない、資料の印刷ができないなどの問題や、データ量の多い作業はできないなど、さまざまな問題が立ちはだかります。また、パソコン画面から情報漏洩しないようにセキュリティの対策を考える必要もあります。

 また、複数人がチームとなって進めている案件の場合、テレワークになることでコミュニケーションが不足しないように気を付けなければなりません。口頭でいえば数秒で済むものを文字にして伝えるのは、それだけでもタイムロスになってしまいます。作業効率が下がってしまうリスクもあるので、回避する方法を考える必要もあります。

テレワークには仕事内容によって向き不向きがある

 上記のように社内環境に縛られてしまったり、チームでの仕事が多い人はテレワークには向いていないのかもしれません。一方で、単独で仕事をする人や営業職の人であればテレワークに移行しやすいという傾向も見えてきました。

 今後テレワークはさらに拡大していく上で、解決するべき課題はまだまだ山積みといえます。今後、どのように課題を解決していくのかを考える必要があるといえるでしょう。

<参考サイト>
・アドビ「テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果」を発表
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/202003/20200304_adobe-telework-survey.html
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一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事