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DATE/ 2023.03.16

「既往歴」はどこまで書く?隠すとどうなる?

 病院で初診の時などに書く問診票や、生命保険の申請書などには「既往歴(既往症)」を書く欄があります。インフルエンザにかかったことがある人は多いでしょう。花粉症は書く必要があるのでしょうか。書式はさまざまですが一体どこまで書けばいいのか迷います。このあたり、少し細かく見てみましょう。

一過性のものは除くのが一般的

 そもそも「既往歴(既往症)」とは何かと言えば「過去にかかってすでに治った病気」という言い方が一般的かもしれません。ただそれだけだと、多くの人は風邪などにかかって病院に行ったことがあるでしょうし、人によってはお腹を壊して病院に行ったという人もいるでしょう。こういった場合は全て既往歴に書くのでしょうか。

 結論から言えば、腹痛・風邪・インフルエンザなど一過性のものは基本的には書かなくていいようです。ただし病院においては、薬の副作用やアレルギー、事故や出産経験などの場合は「既往歴」に含まれる場合があります。また「既往歴」とは異なる場所にそれぞれ記入箇所が設けられている場合もあるようです。記入欄がない、という場合にはその場で問題ないか確認したほうが安心です。

「持病」や「現病歴」との違い

 「既往歴(既往症)」に似たものに「持病」がありますが、これは慢性的・持続的な症状のある病気のことで、一般的に聞かれる「基礎疾患」と同じように考えていいでしょう。「基礎疾患」や「持病」などの記入欄があれば書きましょう。また現在も治療を続けている病気があれば、それは「治療中の病気(現病歴)」として記載します。「持病」とも重なる部分はありますが、現在治療中の病気や症状については「現病歴」と考えられます。

 たとえば、「糖尿病」や「高血圧症」など一度発症してから定期的に治療に通っている病気は「現病歴」です。また病院の問診票の場合、「持病(基礎疾患)」、「治療中の病気(現病歴)」、「服用中の薬」、「アレルギーの有無」といった項目は、記入欄がある場合が多いようです。もし個別の記入欄がなかった場合は、こちらもしっかり確認しましょう。

既往歴を隠すとどうなるのか

 既往歴が自由記述の場合もありますが、書式によってはチェック項目で「花粉症」や「糖尿病」などといった症状や病気別の選択肢が示されている場合もあります。この場合、特に初めに確認が必要なものが挙げられているはずなので、よく確認してチェックを入れておきましょう。既往歴は正確に書く必要があります。もし記載漏れがあった場合、病院であれば診断に影響がでたり、必要な検査が行われなかったり、薬の処方時に問題が生じたりする可能性があります。

 また生命保険などでは契約時に「告知義務」があります。たとえば生命保険や医療保険、がん保険などの契約希望者が過去に大きな病気をしていた場合、今後も病気のリスクが高いと判断される場合があります。保険会社はそのリスクを把握した上で保険加入の可否を判断します。これは保険の公平性を保つために必要なことです。特に忘れがちなものに心療内科などでの診断がありますが、軽い不眠症などでも睡眠導入剤や抗不安剤といったものが処方されます。こういった既往歴は特に医療保険などに加入する時には申告する必要があります。

 もし申告していなければ、「告知義務違反」となります。「告知義務違反」と判断されてしまえば、契約を解除されたり必要な時に保険金が支払われなかったりする可能性もあります。もちろん保険にはさまざまな種類があり、一概に全ての既往歴を告知しなければならない訳ではありません。また、その保険の種類によって告知が必要な既往歴の種類や期間は異なります。これは書かなくていいだろうと自己判断するのは危険です。不明な点は担当者に必ず確認して、漏れがないようにすることが大事です。

<参考サイト>
既往症って何?隠すことで生じるリスクは?|アクサダイレクト生命
https://www.axa-direct-life.co.jp/knowledge/fpcolumn/other/26.html
既往歴│がん情報サイトAssist
https://oncology-assist.jp/patient/comic/001.php?certification=1
初診時の標準的な問診票の項目等|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000985121.pdf
睡眠薬を服用していても医療保険には加入できる?|ほけんの窓口 インズウェブ
https://life.insweb.co.jp/kioushou/sleeping-pills.html

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