テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.06.07

日本人の借金平均額はいくら?

 「日本人の借金」というと、国の債務残高1,200兆円強ばかりが取り上げられますが、国民のそれぞれが個人的に抱える借金に変化はあるのでしょうか。金融広報中央委員会が運営するポータルサイト、「知るぽると」から調べてみました。

●日本人の借金は減っている?

 金融広報中央委員会が毎年公表している「家計の金融行動に関する世論調査」2022年版によると、借入金のある世帯は二人以上世帯で20パーセント強、単身世帯でも15パーセントを超えます。

 この結果、どのように思われるでしょうか。長期的にみると、借入金のある世帯は1980年以降、1988~1990年をのぞいてずっと40パーセント前後、あるいはそれ以上をキープしてきました。最も借入率が高かったのは1996年の48パーセント強です。急激に減少に転じたのは2021年、令和の新しい動向と言えそうです。

 気になる借入金残高は、二人以上世帯で平均1,303万円(中央値800万円)、単身世帯でも平均384万円。この金額を世帯主の年齢別に見ていくと、以下のようになります。

年代:借入金のある世帯:平均借入金残高
20歳代:24パーセント:675万円
30歳代:24.6パーセント:1,852万円
40歳代:26パーセント:1,575万円
50歳代:25.7パーセント:1,150万円
60歳代:16.3パーセント:895万円
70歳代:10.1パーセント:979万円

 借入金の多くを占めるのが住宅ローン。住宅ローン残高が借入金残高に占める割合の推移もあわせて見ていきましょう。

年代:平均借入金残高:平均住宅ローン残高:割合
20歳代:675万円:569万円:84.3パーセント
30歳代:1,852万円:1,736万円:93.7パーセント
40歳代:1,575万円:1,480万円:94.0パーセント
50歳代:1,150万円:995万円:86.5パーセント
60歳代:895万円:766万円:85.6パーセント
70歳代:979万円:463万円:47.3パーセント

●年代別、借入の目的は?

 この調査では、「借入の目的」を3つまでの複数回答可で集計しています。単身世帯のトップは「日常の生活資金」44.8パーセント、二人以上世帯のトップは「住宅の取得または増改築などの資金」47.8 パーセント。やはり世帯主の年齢別に、トップ3の動向を見ていきましょう。

年代:借入目的1位:借入目的2位:借入目的3位
20歳代:日常の生活資金:医療費や災害復旧資金/その他
30歳代:住宅資金:日常の生活資金:耐久消費財の購入資金
40歳代:住宅資金:日常の生活資金:その他
50歳代:住宅資金:日常の生活資金:耐久消費財の購入資金
60歳代:住宅資金:日常の生活資金:耐久消費財の購入資金
70歳代:住宅資金:その他:日常生活/耐久消費財購入

 若い世代は日常の生活資金のマイナス補填に充てることも多く、30代以降はそれ以上に住宅ローンが重いことがわかります。「医療費」等が案外少ないのは、保険でカバーできていきるからでしょうか。

 このように多様な目的のために使われる借入金ですが、一般に「年収の3分の1」を超えると、それ以上借りるのが難しくなることが日本貸金業協会から発表されています。これは、いわゆる「総量規制」によるもの。年収300万円の場合、借入総額は最大で100万円までということですが、住宅ローンやクレジットカードによるショッピングなどは対象外(クレジットカードを用いるキャッシングは含まれます)となっています。

 あくまでも生活を支える収入が主で、貸金はその補助。時代が変わっても変わらない原則を大事にしていきましょう。
<参考サイト> ・公益財団法人 生命保険文化センター:1世帯あたりの借入金はいくらくらい? https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/856.html
・金融広報中央委員会:家計の金融行動に関する世論調査
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/
・日本貸金業協会:お借入れは年収の3分の1までです│
https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/annual_income.php
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」

なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」

AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(2)江藤淳の「リアリズムの源流」

文芸評論を再考するに当たり、江藤淳氏の「リアリズムの源流」を振り返ってみる。一般的に日本で近代小説が始まった起源は坪内逍遥だといわれるが、江藤氏はそれに疑問を呈す。そして注目したのが、夏目漱石の「坊ちゃん」であ...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/02
與那覇潤
評論家
2

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ

国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
小原雅博
東京大学名誉教授
3

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道

機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
木下康司
元財務事務次官
4

「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?

「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?

キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか

キリスト教とは何か。「文明の衝突」が世界中で現実化する中、この問題は日本人にとっても重要なものになっている。上智大学神学部教授・竹内修一氏は、「キリスト教とは何か」という問いは、同時に「イエスとは誰なのか」も意...
収録日:2016/12/26
追加日:2017/02/28
竹内修一
上智大学神学部教授
5

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ

反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
柿埜真吾
経済学者