トルコ民主主義の行方
この講義シリーズの第1話は
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ネオ・オスマン主義外交へのシフトがいまや破綻の瀬戸際
トルコ民主主義の行方(2)問題ゼロ外交の破綻
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
中東情勢に詳しい歴史学者・山内昌之氏が、カオス状態の中東とその中東において孤立しているトルコについて解説する。トルコの孤立化には、その強硬な対外政策が影響しているのだが、エルドアン大統領を強硬路線に突き動かす要因とは何なのか。山内氏が、政治、宗教、民族の側面を交え「トルコ外交の内政化」問題の核心に迫る。(全3話中第2話)
時間:12分04秒
収録日:2015年8月5日
追加日:2015年9月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●IS、クルドと対立を深めるトルコ


 皆さん、こんにちは。

 今日は引き続き、今のトルコが三つの軍事対決、武装衝突などで陥っているトルコ外交やトルコの政治の苦境、あるいは難局について、再びお話ししてみたいと思います。

 2015年7月14日に、トルコはアメリカとの間に軍事安全保障協定を締結しました。これは、八方ふさがりとも言うべき現在のトルコの状況を打開しようという意欲と結び付いていました。トルコの西南部にインジルリクという空軍の基地がありますが、トルコは、このインジルリク基地からイラクやシリアのIS(イスラム国)に対する攻撃のために発進することを、米英に許可しました。これは、イラクのISの展開拠点までおよそ300キロにすぎない所にあります。そして、ユーフラテスの川の方にまでISを駆逐しようと、こういう意図を持つ作戦のために、アメリカはインジルリクをどうしても使いたかったのです。

 他方、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、PKK(クルディスタン労働者党)との2年に及ぶ休戦、和解に終止符を打ちました。それだけではなく、前回申したように、これは少し難しいのですが、シリアのクルド人は略称でPYD(クルドの統一民主同盟:クルド民主統一党)といいます。それから、しばしば外国のプレスなどにも出てきますのは、YPG(クルド人民防衛隊)というのがあります。YPGとは、このPYDの軍事組織のことを言うのです。これらとの対決が大変正面から公然化しています。すなわち、トルコは、国内におけるPKK・クルディスタン労働者党のみならず、シリアにおいて活動しているPYD・クルド民主統一党とその軍事組織であるYPG・クルド人民防衛隊とも対決を深めているということなのです。


●強硬プロセスによる問題ゼロ外交の破綻


 こうした一連の強硬なプロセスは、エルドアンが首相時代の15年前から展開してきたプラグマティックな外交がついに破綻したということを意味しているというのが、私の考えです。つまり、当時のエルドアン首相とアフメト・ダウトオール外相は、隣国との問題ゼロ外交をうたってきましたが、その前の欧州志向外交から新しいオスマン帝国の広がりを念頭に置いて新しい攻撃的な外交を展開するというネオ・オスマン主義外交に大きく舵を切ったそのシフトが、いまや破綻の瀬戸際に瀕している...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(3)国司と郡司のつきあい
郡司の妻たちと宴会!?……国司・大原真人今城へのはなむけの歌に記された「媚態表現」の真相と人心掌握術
上野誠
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治