●望まれる資本主義の姿-価値創造型資本主義
皆さんこんにちは、アフラックの大竹でございます。今日から、私の親友である神藏様のお手伝いができればと思い、出演させていただきました。今回ドコモ社とご一緒に最先端の教育を開始されるとうかがい大変嬉しく存じておる次第であります。
私としましては、この最先端の取り組みに参加できることは光栄ですが、私はビジネスマンとしての立場で、(マス)メディアでは皆さんが聞くことができないような内容のお話をさせていただければと思います。
50年間にわたって米国の金融機関で働いてきたわけでございますけれど、私がいま金融機関に対するあり方について非常に懐疑的に感じている点をまず真っ先に申し上げたいと思います。
ご存知のとおり、現在は「金融資本主義」と呼ばれるような時代ですが、これでいいのかと考えたときに、私は決してそうではないと思えてなりません。では、どういう資本主義を望んでいるのかと言いますと、「価値創造型資本主義」、これは「公益資本主義」とも言われていますが、こういったものを私は提言しているわけでございます。社会的な価値創造-これが一番大切なものではないかと思っております。
●重要なのは「歴史から学ぶ」ということ
早いもので、リーマンショックから5年が経過しましたけれども、「100年に一度の金融危機」とFRBのグリーンスパン議長は言いましたが、私はこの言葉に対して怒りを感じておりまして、これは責任逃れの言葉としか受け取れない。本当に責任転嫁だと思っております。この金融危機は、米国のみならず全世界に多大な被害を及ぼしたことは皆さんもよくご存知だと思いますが、私企業の経営の失敗が全世界に迷惑をかけた、被害を及ぼしたということですね。「Inside Job」というドキュメンタリー映画があることは皆さんもよくご存知だと思いますが、このことを多くの方々が知ったと思います。
リーマンショックは「100年に一度」と言われましたが、歴史をひも解いてみますと、ニューヨーク大学の名誉教授 佐藤隆三さんは、2008年のサブプライムローンに端を発したバブルを含めまして、「バブルはこれまで過去6回あった」と申されています。
人間はおろかな動物で「歴史は繰り返す」と言いますが、人類は同じ歴史を繰り返しているということがご理解いただけるのではないでしょうか。ですから「歴史から学ぶこと」がいかに重要かを皆さんにお伝えしたいわけであります。
長期投資を基本スタイルとしたウォーレン・バフェットさんは金融資本主義への疑問を投げかけております。多くの投資家や一般市民が彼の発言や行動に注目していることは皆さんもご存知かと思いますが、そうした反省が広がりつつあることをご理解賜りたいわけであります。
●公益資本主義への道-誇るべき日本のCSR
さて、私は本年5月31日に韓国の済州島で「アジア版ダボス会議」というのが開かれて、韓国政府から招待を受けました。そこで私が申し上げたことは、世界の経済のなかで日本のCSRについて話したわけですが、日本という国は世界に誇る長寿企業がたくさんあることは皆さんご存知でしょうか。
1000年以上続く会社が19社もございます。500年、300年、そして200年、100年、200年以上でも3千百何社あると思いますので、世界一の長寿企業となります。したがって100年以上となると5万社に及ぶわけです。なぜこういう長寿企業があるのかというと、すでに日本ではCSRというものが長く続いているということを分かっていただきたいからそういう話をしました。
西川家の家訓に「三方よし」というのがあります。これは「買い手よし、売り手よし、世間よし」ということですが、「義を先にして、利を後にすれば栄える」ということですね。つまり社会に貢献してお客様を第一にする。そして企業の社会である日本はまさに1千年以上のCSRを誇っている。そういうことを皆さんにお伝えしたい。そして企業理念や経営理念も中小企業に対しても生きているということをお伝えしたいわけです。何を言いたいかと言うと、「利益よりも継続である」ということです。この辺を皆さん方に知っていただきたいと思います。ですから日本には世界に誇れる思想、伝統が生き続けているということを、私は身をもって感じているわけであります。
●公益資本主義実践のために-途上国には援助より投資
また、7月の末でございましたが、広島県知事から依頼されまして「世界経済人会議」を広島で行いました。そこでも実は「国際平和に向けた世界経済の果たすべき役割、ビジネスを通じた平和構想」というパネルディスカッションに私はパネリストとして参加いたしました。そこで私が訴えたことは、「途上国の人々に対して援助することではなく、投資することである」ということ...