●始まりは秋田県横手市の発酵文化研究所
皆さん、こんにちは。今日は「発酵の町おこし」という話をします。
私たちは、今から10年前に、「発酵の町」というのがあるかどうかを全国調査したことがあります。そうすると、やはり発酵の町はありました。例えば、秋田県の横手市には味噌屋さん、麹屋さん、造り酒屋さん、漬物屋さん、納豆屋さんがたくさんあり、「横手市はすごいな」ということになりました。そして、あちこち探すと、昔からずっと発酵でやってきたという町が非常にたくさんありました。そこで、「発酵は非常に素晴らしい人間の文化の一つだから、発酵で町おこしをしようじゃないか」という考えになり、「全国発酵のまちづくりネットワーク協議会」という組織をつくりました。私はその呼びかけ人ですから、立ち上げから現在までずっと会長を務め、素晴らしい成果を上げています。
本部は、第1回目のサミットを開催した秋田県横手市にあります。歴代の市長がものすごく一生懸命やってくれて、今は全国的に浸透しました。そこで、横手市には「よこて発酵文化研究所」という研究所までつくりました。最近は、いろいろな雑誌で、横手市の発酵文化研究所が取り上げられ、横手は「発酵の町」として浸透してきました。
●「全国発酵食品サミット」で各地を次々と活性化
その後、どんな所でやっているかというと、全国発酵食品サミットを全国でやっています。全国発酵のまちづくりネットワーク協議会の理事会をするときには、必ずその町で全国発酵食品サミットをするのです。全国の発酵食品の町が一カ所に集まって、その町の発酵食品をどんどん持っていきます。これがすごいことになっています。年々規模がどんどん大きくなっています。
これまでやってきたことを少し紹介すると、例えば滋賀県の高島市でも町をあげてやりました。高島市は鮒鮓(ふなずし)で知られた町です。ところが、行ってみると、鮒鮓だけではありません。朽木(くつき)の方には鯖のなれ鮓もあったり、味噌屋さん、醤油屋さん、造り酒屋さんもあったりと、高島市は発酵文化が非常に盛んな所です。ここで発酵サミットをすると、大阪から京都からどんどん高島市に人が訪れました。例えば、地元の小学校では、顕微鏡を何台も並べて置き、そこで大学の先生方が子どもたちに発酵微生物を見せてあげる。それから、発酵料理コンテストを...