●車が電気を運んでいるという状態が意味すること
―― 続きまして、モビリティです。ここはどのようなお話になりますでしょうか。
岡本 モビリティの世界が電動化していくということで、非常にここは大きな変化が生まれるでしょう。
―― モビリティですから、いわゆる自動車とか、そういうイメージですね。
岡本 そうですね。例えば自動車です。バイクでもロボットでも何でもいいのですけれど、ドローンもそうですね。そういったものはこれからバッテリーを積んでいくわけです。そうすると、面白いことが起きる。車は人とか、物を運んでいるけれど、一緒にバッテリーも運んでいる。そうすると、そのバッテリーに電気が入っていますので、ある意味で電気も運んでいるということです。
―― はい。
岡本 そういう位置づけになってしまうのです。この(スライドの)絵で見ていただくと、3つのネットワークを重ねて描いているのですけれど、電気のネットワークとオレンジで描いている道路のネットワークがあって、そういうものを両方つなぐ通信ネットワークがあると思います。道路のネットワーク上で電気が運ばれているという、いまだかつてない状態が生まれてくるのです。「道路が電気を運ぶのか」ということで、そうなると、グリッドそのものではないのですけれど、近い関係を持つようになります。
例えば、地震であるとか台風でいろいろな設備が壊れて停電してしまうといったときに、私どもは発電車というものをお客様の近くまで派遣して、そこで発電してお客様に電気を届けるということをやっています。すでに発電機を道路沿いで運んでいるので、今でもあるといえばあるのですけれど、EVが普及してくると、そういったものがすごく普通にあちこちにある状態になるのです。
電気が足りない、あるいは途絶えてしまっているという場所に、道路の上とか、ドローンだと飛んでしまうかもしれませんけれど、そういうものを使ってバッテリーを運べば、バッテリーですから限りはありますが、いったん電気が使えるということになるので、非常時のレジリエンスが非常に上がるのです。
これもエネルギーを分散していくことのメリットだと思うのです。だから、EVが電気を運ぶ道具にもなっているということを考えると、道路と電気のネットワークはすごく近い関係がある...