●AIの進化で増える世界的な電力需要
―― そういう全体状況があった中で、さらにいいますと、AIの進展でさらにエネルギー消費が(増える)というところでございますけれど、ここはどんな形でございましょうか。
岡本 エネルギー消費全体で見ますと、基本的には日本の場合は人口が減少している過程にありますし、一般的には省エネルギーが非常に進んでいるので、電力消費も、われわれのエリアでも横ばいか、若干減少していくというのが今のトレンドなのです。
この後もそうかなと思っていたのですけれど、最近になって急激に、あるセクターのエネルギー消費だけが増えるという状況になっています。今お話のあった通り、これはデータセンターのお客様が次々と昔に比べて大規模化して、それを申し込んでいらっしゃるという状況になっています。このグラフを見ていただくと分かります。
今年度(2023年度)の上期末で受け付けたものになります。この後5年ぐらいで600万キロワット、2030年ぐらいだと700万キロワットぐらいになってしまうのではないかという、新たなデータセンターの受付があったということがあります。
だいたい規模感でいうと今、東京電力エリアの最大需要が6000万キロワットを少し切るぐらいです。ですから、もちろん他の部分が少しずつ減っているので、完全プラスというわけではないですけれど、仮に600万キロワット増えると、10パーセント以上増えることになります。それはかなり大きなインパクトがあります。
―― そうですね。
岡本 ますますお申し込みが増加するという状況があります。
生成AIが使うモデルの規模がどんどん大きくなっていますので、そのたびに学習するにしても、必要とするエネルギーはどんどん増えてしまっているというのが、実際に起きていることです。
これは日本だけではなくて、アメリカでも、シンガポールでも、ヨーロッパの話は聞けていないのですけれど、おそらくヨーロッパも、少なくともアメリカとシンガポールでは現に相当増えていると聞いています。
―― それはどのぐらいの形なのですか。
岡本 シンガポールは、今現在ですでに国全体の電力消費の7パーセントがデータセンターになっているそうなのです。
―― 全体の7パーセントということですね。
岡本 ただ、シンガポールは国が非常に...