●すでにある電力設備にデジタルインフラを重ねる
―― そのような動きが一部あるということで、さらにお話を進めていただくとどういうことになりますか。
岡本 もう1つの事例です。神経と血管を密着させるといったわけなのですけれど、例えば、電力設備そのものにデジタルインフラを重ねてつくってしまうということが密着のいちばんシンプルなパターンなので、そういうパターンも考えられます。今見ていただいている(スライドの)絵でアンテナのようものが上のほうに出ています。
―― 「5G」と書いてあるところですね。
岡本 そうですね。これからだと5Gとか、あるいは6Gというものもあると思いますけれど、そういった高速な大容量の無線のサービスがこれからどんどん出てくると思うのです。その基地局装置(Base Band Unit)をどこに置くかということ(課題)があったとして、例えば、われわれの変電所に置いてしまえばいいのではないかということです。
―― なるほど。
岡本 当然、変電所に電気はあるわけです。その上で、変電所の中には通常、通信機械室があります。今までですと、通信のための装置を入れていたのですけれど、どんどん通信装置が小さくなってきて、けっこう大きな部屋があって、冷房も効いているのです。中はカラということはないのですけれど、かなり隙間が多いわけです。そういうところにサーバーを入れていって、そこに基地局装置をソフトウェアで入れると場所としては使えます。だから、電気がある場所の空きスペースの活用ができるというのが1つのメリットです。
もともとそこから、例えば電柱とかいろいろな電気をお届けしている設備がありますけれど、そこまで電線と光ファイバーがもうすでにつながっているので、それをそのまま使う。例えば、電柱とか鉄塔でもいいのですけれど、そこにアンテナさえ置けばもう5Gなどができてしまうのではないかということです。
なので、新たに全部これ(基地局装置)を置きに行くよりは、すでにあるものを使って、そこに重ねたほうが安くて速いのではないかというのが1つの着眼点なのです。
―― そういうことができてくると、具体的には、どういう社会になっていくということなのですか。
岡本 5Gあるいは6Gは、コストの問題があって、普及がまだまだこれからだと思うのですけれど、投...