教養としてのナノテクノロジー
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
熱を電気に変える新素材「カーボンナノチューブ」とは何か
教養としてのナノテクノロジー(8)ナノの力で熱を電気に変える
身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながれるIoT時代の到来は、私たちにこれまでにない便利な生活をもたらしてくれる。しかし、それは同時に膨大な量のセンサーや電気エネルギーを必要とするものでもある。そこで注目されるのが、これまで使われていなかった熱を電気に変える「熱エネルギーハーベスティング」と、それを促進する新素材の「カーボンナノチューブ」だ。(全10話中第8話)
時間:13分44秒
収録日:2021年3月29日
追加日:2021年9月9日
≪全文≫

●IoTの時代の到来とエナジーハーベスティング


 こんにちは。東京理科大学の山本貴博です。私からは、「ナノを制御して熱を電気に変える」というお話をさせていただきます。

 昨今エネルギーの問題が新聞・マスコミ等で賑わっています。「熱を電気に変える」ということですが、私たちの身の回りには使われていない熱エネルギーがたくさんあります。これを電気エネルギーに変換することで、私たちの生活に役立てようという話をさせていただきます。

 特に、小さな熱エネルギーを集める必要性がなぜあるのかというと、最近の時代背景にその理由があります。IoTという言葉をよく耳にするかと思いますが、まずIoT社会とはどういった社会なのでしょうか。15年ほど前の私たちの生活を思い返してみると、コンピュータがインターネット上でつながってきました。

 現代はどのような時代かというと、コンピュータだけでなくテレビやゲーム、そういったさまざまなモノがインターネット上にのることによって、人と人がインターネット上でコミュニケーションをとるようになりました。いわゆる、“Internet of People”の時代です。

 そして、今われわれが目指している社会であるIoT社会は何かというと、さまざまなモノとモノが直接情報を通信し合うことによって、より豊かな生活を実現しようという“Internet of Things”の社会です。

 こういった“Internet of Things”という時代を実現しようとしたときに、どういった新しい技術が必要になってくるかというと、実はモノにセンサーを付けていかなくてはいけません。全てのモノにセンサーを付けていき、IoT社会を実現しようとすると、実は45兆個ほどのセンサーを毎年交換していかなければいけないことが試算されています。

 この45兆個のセンサーを毎年交換していくのは技術的にも物質的にも無謀な挑戦です。これまでにない技術をここに導入することによって、45兆個のセンサーを動かしていこうというときに必要な技術の1つとして、身の回りにあるまだ使われていないエネルギーを電気エネルギーに変換する技術が求められています。

 これをエネルギーの収穫という意味で、「エナジーハーベスティング(energy harvesting)」といいます。今日はそのエナジーハーベスティング...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
2050年のための「前向きの愛国心」(1)木造都市へのシフト
木造ビルで20階…新しい暮らしを支える森林産業の確立を
小宮山宏
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮