教養としてのナノテクノロジー
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ノーベル賞を共同受賞した「マルチスケール解析」とは何か
教養としてのナノテクノロジー(6)マルチスケール解析と応用<前編>
2013年にノーベル化学賞を共同受賞した「マルチスケール解析」。量子力学と古典力学を融合させるこの解析を可能にしたのもスーパーコンピュータ「京」の登場、つまりテクノロジーの進化である。異なるスケール間を接続するためのマルチスケール解析とは何か、ナノテクノロジーにおけるその構造を解説する。(全10話中第6話)
時間:6分25秒
収録日:2021年3月29日
追加日:2021年8月26日
≪全文≫

●量子力学と古典力学を融合したマルチスケール解析でノーベル賞受賞


 では、「ナノテクノロジー:マルチスケールサイエンス&テクノロジーの最前線」の2項目目としてお話ししていきたいと思います。

 これは最初に示した目次ですが、今回は「マルチスケール解析と応用」について、お話しさせていただきます。

 実はマルチスケール解析はノーベル賞を取っています。2013年のノーベル化学賞は「複雑な化学反応系のマルチスケールモデルの開発」で(マーティン・カープラス氏、マイケル・レヴィット氏、アリー・ウォーシェル氏が)共同受賞しています。

 彼らのコンセプトは、たんぱく質の構造のコアの部分は量子力学で計算し、その周りは古典力学で計算するというものです。このアイデアが非常に評価されたのですが、実は非常に難しいのは、古典と量子をどう結ぶかということです。この部分のモデリングがすごく重要になってきます。

 当時は「京」というコンピュータが最速でしたが、今や「富岳」に変わりました。その当時こういう解析ができるようになったのは、このハイパワーの計算機ができてきたということに起因しています。われわれが身の丈でこういうことをやろうと思うと、もっと小さな計算機でもできるうまい方法をいろいろ考える必要があります。


●ナノテクノロジーにおけるマルチスケール解析とは


 では、ナノテクノロジーにおけるマルチスケール解析とは何なのかを簡単に説明します。

 分子レベルが完全に平衡現象になってしまったら、ナノテクノロジーも何もありません。分子レベルのいろいろな現象が非平衡の状態であり、それをうまく固定化して新規のデバイスをつくるというのが一種のナノテクノロジーです。こういう非平衡現象をどのように計算していくかを考えていきます。

 細かいことをここに書いていますが、ミクロスケールでは、電子・原子核の運動を量子力学によって計算します。そのときの支配方程式はシュレーディンガー方程式です。そこでモデルをつくって、メゾスケールのところにもっていきます。もちろんシュレーディンガー方程式で最後の最後まで計算する方法がないとは言いませんが、どれだけ計算機が大きくて、どれだけメモリがあったとしても、それはちょっと無理...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
長谷川眞理子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典