Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化
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ローカル5G普及に向け、インフラの低コスト化は最優先課題
Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化(4)ローカル5G普及の課題
中尾彰宏(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
ローカル5G普及における一番の問題は、機器が非常に高価、つまりインフラのコストが非常に高いことだ。そのため、導入を躊躇しているという事例が多く見られるという。そこで中尾氏の研究室では、一般家庭のパソコンでローカル5G(SA)の基地局が構成できるのかという課題に取り組んでいる。今回では、そのための実験やローカル5G利活用について語る。(全9話中第4話)
時間:11分08秒
収録日:2021年1月27日
追加日:2021年4月6日
≪全文≫

●ローカル5G普及への一番の問題はインフラコストが非常に高いこと


 「6Gはローカル6Gから始まる」ということで、特にこのうちの一つの例を紹介します。価格破壊・自営網展開キットの話をします。

 ローカル5G普及における一番の問題は、今の時点では機器が非常に高価である、つまりインフラのコストが非常に高いということが挙げられます。ローカル5Gに強い興味を持っている方は非常にたくさんいますが、実際に導入をしようとしたときのコストが高いために躊躇しているという例が多く見られます。

 そこで、われわれは一般の家庭にあるようなパソコンでローカル5G(SA)の基地局が構成できるかという課題に取り組みました。


●無線構成要素を開発して非常に安価なローカル5G基地局を構成


 ここでソフトウェアの基地局の構成についてお話をします。スライドの写真にあるように、これは少し大きめのPCになりますが、ご家庭やオフィスにあるようなPCでもまったく同じことが実現できます。汎用のインテルのCPUの入ったPCを使いまして、こちらにソフトウェア基地局のソフトウェアをインストールします。同時に5Gのネットワークはこの基地局の他に5Gコアネットワークが必要となりますが、こちらもソフトウェアで実現が可能となります。

 ただし、全てをソフトウェアで実現することはもちろんできないわけですから、「RF」とわれわれは呼びますが、無線の構成要素部分以外は全て汎用インテルPCで、ソフトウェアにより実現可能になってきています。

 課題は無線の構成要素部分と、それから信号の送受信を低遅延で可能とする、周波数が高くて、並列実行可能な命令を持っている汎用プロセッサが必要だということになります。今、ご家庭で使われたり、もっというとAIとか機械学習を実行したり、それからちょっと意外かもしれませんが、ゲーム用に開発されているシステム、例えばネットワークシューティングゲームとか、そうした周波数の高い汎用プロセッサを使っているPCであれば、このような基地局がソフトウェアで実装可能になってきています。課題として、この無線構成要素部分を安価にシンプルに構成する必要があります。これにはノイズや熱の削減、効率の良い増幅、フィルター機能などがあります。

 この講義ではあま...

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