Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ローカル5G普及に向け、インフラの低コスト化は最優先課題
Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化(4)ローカル5G普及の課題
科学と技術
中尾彰宏(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
ローカル5G普及における一番の問題は、機器が非常に高価、つまりインフラのコストが非常に高いことだ。そのため、導入を躊躇しているという事例が多く見られるという。そこで中尾氏の研究室では、一般家庭のパソコンでローカル5G(SA)の基地局が構成できるのかという課題に取り組んでいる。今回では、そのための実験やローカル5G利活用について語る。(全9話中第4話)
時間:11分08秒
収録日:2021年1月27日
追加日:2021年4月6日
≪全文≫

●ローカル5G普及への一番の問題はインフラコストが非常に高いこと


 「6Gはローカル6Gから始まる」ということで、特にこのうちの一つの例を紹介します。価格破壊・自営網展開キットの話をします。

 ローカル5G普及における一番の問題は、今の時点では機器が非常に高価である、つまりインフラのコストが非常に高いということが挙げられます。ローカル5Gに強い興味を持っている方は非常にたくさんいますが、実際に導入をしようとしたときのコストが高いために躊躇しているという例が多く見られます。

 そこで、われわれは一般の家庭にあるようなパソコンでローカル5G(SA)の基地局が構成できるかという課題に取り組みました。


●無線構成要素を開発して非常に安価なローカル5G基地局を構成


 ここでソフトウェアの基地局の構成についてお話をします。スライドの写真にあるように、これは少し大きめのPCになりますが、ご家庭やオフィスにあるようなPCでもまったく同じことが実現できます。汎用のインテルのCPUの入ったPCを使いまして、こちらにソフトウェア基地局のソフトウェアをインストールします。同時に5Gのネットワークはこの基地局の他に5Gコアネットワークが必要となりますが、こちらもソフトウェアで実現が可能となります。

 ただし、全てをソフトウェアで実現することはもちろんできないわけですから、「RF」とわれわれは呼びますが、無線の構成要素部分以外は全て汎用インテルPCで、ソフトウェアにより実現可能になってきています。

 課題は無線の構成要素部分と、それから信号の送受信を低遅延で可能とする、周波数が高くて、並列実行可能な命令を持っている汎用プロセッサが必要だということになります。今、ご家庭で使われたり、もっというとAIとか機械学習を実行したり、それからちょっと意外かもしれませんが、ゲーム用に開発されているシステム、例えばネットワークシューティングゲームとか、そうした周波数の高い汎用プロセッサを使っているPCであれば、このような基地局がソフトウェアで実装可能になってきています。課題として、この無線構成要素部分を安価にシンプルに構成する必要があります。これにはノイズや熱の削減、効率の良い増幅、フィルター機能などがあります。

 この講義ではあま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子