「自動運転の民主化」が生み出す近未来の社会
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ディープラーニングによる予測で自動運転の安全性を高める
「自動運転の民主化」が生み出す近未来の社会(3)自動運転を支える技術
加藤真平(東京大学大学院情報理工学系研究科 特任准教授/株式会社ティアフォー 創業者)
自動運転とは、人間が運転する際に行っている認知、判断、操作を機械に代替させる技術である。そのために、基本ソフトウェアという機能が搭載される。カメラやセンサーによって得られた情報を、「ライダー」と呼ばれるソフトウェアによって3次元の位置情報と照らし合わせて判断し、ディープラーニングによってその物体の将来の動きを予測するなど、さまざまな技術が用いられている。現在では、自動運転の安全性をより高め、実用化していくフェイズに入っている。(全5話中第3話)
時間:12分08秒
収録日:2020年11月25日
追加日:2021年4月15日
≪全文≫

●自動運転とは認知、判断、操作を機械で行うもの


 今回はテクノロジーに関して、具体的には最近の自動運転はどのようにできているのかという点について、お話ししたいと思います。

 自動運転については、自動車メーカーやスタートアップ、そして大学の考え方はそれぞれ異なります。ここで紹介するのは、おそらく最もベーシックな考え方となるので、他のさまざまな自動運転に応用できる知識ではないかと思います。

 まず、自動運転の心臓部、コアとなるのがソフトウェアです。当然自動運転ですので、車両がなければ運転できませんし、センサーがなければ周りの状況を認識できませんが、最も重要なのは、車両をどのように操作するか、センサーから得られた情報をどのように処理するかというソフトウェアです。特に「基本ソフトウェア」と呼ばれる機能が、自動運転のコアとなります。

 自動運転を非常に分かりやすくいうと、認知、判断、操作という三つの操作を機械によって行うものです。認知とは、例えば自分がどこを運転しているのかという位置を推定することや、歩行者や周りの車両などの物体を検出し、どれくらいの大きさのものが自分からどれくらいの距離に存在するのかを把握し、可能であればその物体が1秒後や3秒後にどのように動くか予測することを指します。

 自分の位置や周りの物体を検出することができれば、その結果を用いて自分の行動を計画していく、つまり判断するというフェイズに移ります。例えば、曲がる、進む、止まるという3つの動作のどれかを選択するということです。前に歩行者がいた場合には、止まらなければなりません。しかし、前に路上駐車している車がある場合には、止まらずに曲がって回避した方が良いでしょう。そのような判断を行うのが、2つ目のフェイズです。

 3つ目のフェイズは、例えば曲がるという判断をした場合に、実際に曲がらなければなりません。ハンドルをきるイメージや、アクセルブレーキを踏むような操作にあたり自動化することが、操作、あるいは操舵というフェイズになります。

 これを全て一つのソフトウェアとして提供することが「自動運転の基本ソフトウェア」と呼ばれています。もちろんこれは基本ですので、例えば運転を滑らかにする、人間の心地よさを考えるなどの、さまざまな応用が考えられますが、基本...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎