「自動運転の民主化」が生み出す近未来の社会
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
自動運転はビジネスとして成立するか、タクシーで実証実験
「自動運転の民主化」が生み出す近未来の社会(5)ビジネスとして成立するために
加藤真平(東京大学大学院情報理工学系研究科 特任准教授/株式会社ティアフォー 創業者)
自動運転技術を一社で実用化にまで持っていくのは負担が大きいため、TierIVはオープンソースの可能性に注目している。つまり、技術を公開し、さまざまな技術をそこに上乗せしていくことで、迅速な開発を可能にしようという考えだ。特にこれからは技術面の実証だけではなく、どのようなサービスをすれば採算が取れるのかというビジネス面の実証に力を入れていく必要がある。(全5話中第5話)
時間:18分06秒
収録日:2020年11月25日
追加日:2021年4月29日
≪全文≫

●オープンソースによる開発の進展を目指す


 これまで技術に関して、そして国内外で行われている実験に関して、解説及び紹介してきました。今回は、それらを踏まえて、今後どのようなビジネスがあり得るのか、という点に関して、見ていこうと思います。

 特に今回はオープンソースに着目したいと思います。オープンソースとは、TierIVが掲げている民主化の非常に基本的な考え方ですが、自分たちが持っているソフトウェアのプログラムを一般に公開するものです。誰でもダウンロードして、改造しても良いというように、一般的に利用できる状態にしてしまうのです。自動運転のソフトウェアは非常に規模が大きいので、これを1から作ろうと思うと数年、下手すると10年かかってしまいます。この技術をオープンにすることで、これから自動運転のマーケットに参入してくる企業や組織は、ベースはオープンソースのものを用いて、その上に自分たちの製品やサービスを上乗せしていくことができるのです。これがわれわれの基本的なモデルです。

 この図を見ると分かりやすいと思いますが、自動運転と一言でいったときに、車両、通信、ソフト、センサーと関連する技術は多岐にわたります。これらの技術のすみ分けを行うことが、今後ビジネスを展開していく上で非常に重要になってきます。オープンソースの上には、通信、ソフトウェア、ハードウェアなど各ビジネスのセクションがあります。各々のセクションにおいて、同じオープンソースのものが用いられているという構図をつくることができれば、最初の一台を実用化するだけではなく、おそらく日本は世界に先駆けて自動運転というビジネスを普及させていくことができると思います。

 ここで、オープンソースの上に何が上乗せされるのか一つの例を紹介しようと思います。オープンソースとは、誰もが使えるフリーのソフト、アプリのようなものだと思ってください。これを用いて、各企業は自分たちの製品を売りたいと考えます。製品とはセンサーや車の部品、チップ、ソフトウェアの中でも自動運転とは直接関係のないナビやディスプレイなど、周辺のサードパーティの製品を含みます。これらを作る企業は、自分たちで自動運転システムをつくることはできないものの、その一部を提供することができます。オープンソースを用いてつくられる自動運転車では、全てこの製品を用いることができると...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉
40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」
徳岡晃一郎
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
いま夏目漱石の前期三部作を読む(9)反知性主義の時代を生き抜くために
なぜ『門』なのか?反知性主義の時代を生き抜くヒント
與那覇潤
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生