●オープンソースによる開発の進展を目指す
これまで技術に関して、そして国内外で行われている実験に関して、解説及び紹介してきました。今回は、それらを踏まえて、今後どのようなビジネスがあり得るのか、という点に関して、見ていこうと思います。
特に今回はオープンソースに着目したいと思います。オープンソースとは、TierIVが掲げている民主化の非常に基本的な考え方ですが、自分たちが持っているソフトウェアのプログラムを一般に公開するものです。誰でもダウンロードして、改造しても良いというように、一般的に利用できる状態にしてしまうのです。自動運転のソフトウェアは非常に規模が大きいので、これを1から作ろうと思うと数年、下手すると10年かかってしまいます。この技術をオープンにすることで、これから自動運転のマーケットに参入してくる企業や組織は、ベースはオープンソースのものを用いて、その上に自分たちの製品やサービスを上乗せしていくことができるのです。これがわれわれの基本的なモデルです。
この図を見ると分かりやすいと思いますが、自動運転と一言でいったときに、車両、通信、ソフト、センサーと関連する技術は多岐にわたります。これらの技術のすみ分けを行うことが、今後ビジネスを展開していく上で非常に重要になってきます。オープンソースの上には、通信、ソフトウェア、ハードウェアなど各ビジネスのセクションがあります。各々のセクションにおいて、同じオープンソースのものが用いられているという構図をつくることができれば、最初の一台を実用化するだけではなく、おそらく日本は世界に先駆けて自動運転というビジネスを普及させていくことができると思います。
ここで、オープンソースの上に何が上乗せされるのか一つの例を紹介しようと思います。オープンソースとは、誰もが使えるフリーのソフト、アプリのようなものだと思ってください。これを用いて、各企業は自分たちの製品を売りたいと考えます。製品とはセンサーや車の部品、チップ、ソフトウェアの中でも自動運転とは直接関係のないナビやディスプレイなど、周辺のサードパーティの製品を含みます。これらを作る企業は、自分たちで自動運転システムをつくることはできないものの、その一部を提供することができます。オープンソースを用いてつくられる自動運転車では、全てこの製品を用いることができると...