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6Gの研究開発を推進する情報通信の民主化

Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化(1)情報通信の民主化と「協創」

中尾彰宏
東京大学大学院情報学環 教授
情報・テキスト
5Gを超える6Gに向けて、情報通信の民主化により地域課題を解決するような未開拓領域の情報通信の利活用が進んでいく。そうした可能性について具体例を交えて解説するシリーズ講義。第1話は、情報通信の民主化が6Gの研究開発に与える影響、そして公衆網通信との協創について語る。(全9話中第1話)
時間:10:34
収録日:2021/01/27
追加日:2021/03/16
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≪全文≫

●相互のコミュニケーションを支える情報通信の重要性


 皆さん、こんにちは。東京大学総長特任補佐、東京大学大学院情報学環副学環長、東京大学教授の中尾彰宏です。今回のシリーズ講義では「情報通信の民主化が駆動するBeyond 5G・6G」ということでお話をします。

 5Gはすでに商用化(サービスイン)して、これから普及期に入ります。そして、次の世代の通信、つまり「5Gを超えて」という意味での「Beyond 5G」(正確にいうと、6G、第6世代の情報通信ということになります)、こちらに向けた研究開発がすでにスタートしておりますので、そのあたりのお話をしたいと考えています。

 まず自己紹介です。(2020年)話題になった学術会議の連携会員を2020年度から務めていて、それから、第5世代のモバイル推進フォーラム(5GMF)では引き続きネットワーク委員長をしています。最近では、スペースICT推進フォーラムの5G・Beyond5Gの連携技術分科会の委員長をしていて、こちらは宇宙の通信、衛星あるいは「HAPS」(High Altitude Platform Station)といわれている新しい通信と、5G・Beyond5Gの連携技術について議論をする分科会になっております。また、地域情報化アドバイザーは継続しておりまして、ローカル5Gの普及研究会の委員長もしています。

 私の研究に対する想いは、今回の講義のタイトルにもありますが、「Beyond5G・6Gに向けた情報通信の進化」にあります。現在は6Gに向けてどういう情報通信が実現できるかという研究をしているわけですが、そもそも私が情報通信の研究をしようと考えたきっかけというのがスライドにも書かれています。「人間の基本的な社会活動が相互のコミュニケーションに支えられている」という事実、これはコロナ禍において非常に皆さんが情報通信の重要性について再認識をしたということからも分かるかと思います。

 もちろん、日常生活でいろいろな情報通信を使っていると思いますが、特に被災時、それから緊急時の有事においては1ビットのデータ通信、つまり1か0かということですが、安否確認で、知り合いや家族が安全かどうかという確認の通信は非常に重要であることが分かります。情報通信の重要な点として、一つの確実な事実を伝えるということでいうと、1ビットでも届けることの重要性は疑いの余地がないと思います。

 また、移動通信が進化をして、いろいろな場所で情報通信が可能となってきていますが、今でも通信ができない地域、状況というのは多くあります。こうした状況から情報通信がますますいろいろな地域で使われていくということ、これは非常に重要だと考えています。

 そこで私が最近考えていることは、今回のお話にも通じますが、万物を繋ぐことができる最新の高度情報通信技術、これを安価に、高度な専門知識なく、自らの手で創るということで、未開拓領域と呼ばれている、これから通信が使われていく領域においても情報通信の利活用のイノベーションを創出すること、これを目指しています。

 いわゆる万物を繋ぐコミュニケーションを完全にするためにいろいろな技術がありますが、これを駆使して未開拓領域の情報通信を一つでも多く可能とする研究開発を推進したい。ひと言でいいますと、6Gに関しては情報通信の基本に立ち返るということで、それが未開拓の領域でも通信を可能にするといったことにつながっていくと考えています。


●情報通信の民主化こそが6Gの研究開発を推進する


 今回の講義のタイトルに「情報通信の民主化」とあります。前回のシリーズ講義(「5Gとローカル5G」全9話)でもお話をしたかと思いますが、現在、情報通信の基本的なサービスを提供する主体が多様化しており、私は「情報通信の民主化」と呼んでいますが、これが起こりつつあると考えられています。

 なぜ突然民主化の話をしたかと言いますと、私の持論ではこの民主化こそが6Gの研究開発を推進すると考えているからです。democratization、民主化はあるものを全ての人にアクセス可能にする行動のことを指しています。情報通信の実現は近年では全国の通信事業者だけではなく、全ての国民が主体となって基本的なサービスを提供できるということを意味しています。私のような大学の教員、それから一般事業者、自治体などが情報通信の運用主体となる可能性があります。

 私は、革新は多様性(あらゆる観点からの考察)と包摂性(あまねく対象への考慮)から生まれると考えています。この多様性と包摂性は多数のユースケースから生まれます。多数のユースケースは「バーティカル」と呼ばれている一般事業者から生まれるということになりますので、この民主化によって多くの革...
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