日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適
岡本浩(東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者/スマートレジリエンスネットワーク代表幹事)
サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率」が高い国と比べて、日本には独自の困難さがあるという。その大きな原因は、島国であるがゆえに、隣国などとの電力の融通が困難であることにあるというのだが……。なぜ、日本では電力需給の調整に、より繊細さが必要とされるのか。来るべきカーボンニュートラル社会における、日本の電力需給のあるべき姿について考える。(全9話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分12秒
収録日:2024年2月7日
追加日:2024年4月27日
≪全文≫

●消費者が電力の消費を調整する時代へ


―― そうすると、先ほど冬とゴールデンウィークの比較をお見せいただきましたけれど、そのご説明とはまったく違うことになっているということですね。

岡本 そうですね。非常に不可能なようなことをお話ししているようにも聞こえると思うのですけれど。

―― それができる形になっているということなのですか。

岡本 まさにそれはこれからのチャレンジなのですけれど、できる方向に技術が進むとわれわれは思っています。

 例えば、これから電気自動車が普及していくのではないかと思っています。そうすると、電気自動車はお客様側にバッテリーを積んでいるわけです。そのバッテリーに電気をまず蓄えるわけですけれど、その電気の缶詰のようなものを、太陽光の電気がたくさんある時間に満タンにしておいて走ればいいではないかということができるので、今までと違ってお客様が調整できるようになって、なおかつそれを電気の形でうまく使ってしまえるのです。

 あと、お湯を沸かすのも同じような仕組みが入ってきます。私の家もオール電化ですけれど、「ヒートポンプ」という電気を使ってお湯を沸かす仕組みがあり、非常に効率がいいのですけれど、給湯のタンクがあって、通常の場合、夜間の電気代が安いときにお湯を沸かしてタンクに貯めておいて、昼間に使うわけです。

 割と最近の製品で見ると、太陽光があると昼間に電気があるので、例えばご家庭の太陽光の電気をうまく使えるようなヒートポンプ給湯器がもうすでに商品化されています。そうすると、明日の天気予報を見て、明日は晴れるのだったら夜間にお湯を沸かすのをやめて、明日の昼間に(お湯を)沸かすということを自動でやってくれるものが今出ているのです。

 つまり何をいっているかというと、貯湯槽(お湯を溜めるタンク)があるので、そこにエネルギーを溜めておけば、バッファがあって、お湯を使うタイミングと電気を使うタイミングをずらせるので、これも調整可能な需要になっているのです。

 こういったものがカーボンニュートラルになっていくということは、だんだんそういう再生可能エネルギーとか、原子力を活用する電気の製品に置き換わっていくときに、そのバッファも一緒にお客様側に分散した形で入っていくので、調整可能な需要として増えて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
グローバル環境の変化と日本の課題(6)組織改革と課題解決のために
働き方改革の鍵はエンゲージメント、経営者の腕の見せ所
石黒憲彦