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10分でわかる「自然エネルギーの可能性」

エネルギー問題と世界の潮流を読む(2)日本はエネルギー自給国を目指せ

小宮山宏
東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツTV座長
情報・テキスト
自然エネルギーの特徴は、ほとんどが太陽光に由来することだ。幸いにも地球上に降り注ぐ太陽光は、人類が必要とするエネルギー総量の1万倍に達する。上手にエネルギーに変換し、輸送する技術が確立していけば、2050年のネットゼロはもちろん、将来的に日本がエネルギー自給国となることも夢ではない。(全2話中第2話)
≪全文≫

●自然エネルギーのほとんどは太陽由来


 それでは、自然エネルギー再生可能エネルギー)にどれだけの量的可能性があるのか。また、自然エネルギーは次にどこにいくのか。これらが非常に重要な問題になってくるのですが、自然エネルギーと申し上げたものの中の「地熱」と「潮の満ち引き(潮汐)」はやや例外的です。

 潮の満ち引きは太陽と月の重力によって起こります。地熱のほうは地球がまだ冷え切っていないので、土の奥に貯まっている非常に高温の熱を使うということです。これら以外は、ほぼ全てといっていいと思いますが、太陽から来ているエネルギーです。

 太陽光はもちろんそうです。太陽光と並んで重要な風力発電は、吹く風の力を使いますが、風が吹くのは太陽光による(空気の)温められ方に大小が生じ、高気圧と低気圧ができて風が吹くわけですから、これも太陽光のエネルギーが変換されたものです。

 それから、太陽光は海からの水を蒸発させ、あちこちに雨として降らせます。そのうちの高いところに降ったものを利用するのが水力ですから、これも太陽がもとになっています。

 バイオマスは、植物が葉緑体の中で太陽光をエネルギーにしてCO2と水から炭水化物と酸素をつくる「光合成」の過程がもとになっています。バイオマスの原料は、一つは木や米のような植物で、途上国では牛の糞なども非常に重要なエネルギー資源になっています。これも結局は牛が植物を食べて糞をするわけですから、もとをたどればバイオマスは全て植物由来で、太陽光によるエネルギーによるものです。


●太陽光の量は人類が消費するエネルギーの1万倍


 これは非常に人間にとっての「僥倖」といってもいいのですが、降ってくる太陽光の量は、同じ時間に人類全体が使っているエネルギーの量の1万倍あります。100倍でも1000倍でもなく1万倍来ているのです。ですから、そのほんの少しを利用すれば、今の人類のエネルギー消費をまかなえるということで、膨大なのです。

 日本のような、面積に対して人口の多いような国でも十分、自然エネルギーだけで国内で消費するエネルギーをまかなうことができるのです。

 太陽光と風力はこれからどんどん使われていくのですが、今、同じぐらい重要なのが水力です。いわゆるダムをつくる方式も多いのですが、大規模ダムをつくる可能性は、地球全体としても徐々に飽和してきています。ただ、小さな水力を利用する可能性は、相当ポテンシャルがあるため、日本でもこの後、まだ小水力には相当余地があります。

 それから地熱も非常に大きなポテンシャルを持っています。北欧のアイスランドという国では、エネルギーのほぼ100パーセントを地熱でまかなっています。日本でも、地下数キロメートルの少し深いところまでいくと岩が非常に高温になっているので、そこを使います。これは非常に大きな可能性があって、技術的にも相当できあがっているため、2050年までにこの方式が登場する可能性は十分にあります。早ければ2030年代にできるかもしれません。

 バイオマスは、水力、地熱とともに重要なエネルギーです。

 ということで、太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱の五つが再生可能エネルギーとして2050年までに力を持ちそうなものですが、このうち太陽光と風力は変動が大きいのです。一方、水力、バイオマス、地熱は安定的な供給が見込めます。太陽光で得た電気が余ったときに貯めておく、足りないときに使うような電池が必要になるということがいわれますが、これらを上手に組み合わせると電池の負担などを小さくすることができるのです。


●2050年に宣言した「ネットゼロ」を加速すべき


 それでは最後に、日本はどうすべきなのかということですが、私はもう20年ほど前から「人類は脱炭素の方向を目指すべきだ」と主張してきました。

 2050年に「ネットゼロ」と政府が宣言したのは、遅すぎましたけれども大変いいことで、これから加速すべきだと思います。やれば必ずできます。

 少しその根拠を申し上げますと、先ほど言ったように、再生可能エネルギーを生む太陽光が莫大だということ。加えて、地熱も深層地熱というものを考えると莫大だということが一つあります。それからもう一つは、(エネルギー)需要が今の時点ですでに減ってきていることです。

 この図を見ていただくと、赤の線が1973年を1としたときのエネルギー消費量です。ここ15年ほどは年率1.5パーセントぐらい減っています。これはなぜかというと「省エネルギー」技術が進み、エネルギーの効率が上がっているからです。

 自動車やビルなど、人間がエネルギーを使う場所での消費量が飽和していて、もう増えなくなる。車を買い換えたりビルを建て替...
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