アメリカの凋落と大統領選の制度的欠陥
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
実は建国期から間接選挙!アメリカ大統領選の制度的欠陥
アメリカの凋落と大統領選の制度的欠陥
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
予測が非常に難しいといわれるアメリカ大統領選で、共和党はトランプ氏、民主党はサンダース氏といった候補者が予想外の支持を得ている。この事実に、政治学者で慶應義塾大学大学院教授・曽根泰教氏は「アメリカの凋落」の影を見る。アメリカはなぜそうなってしまったのか。曽根氏が、大統領選を通してアメリカの凋落とその制度的欠陥について語る。
時間:12分57秒
収録日:2016年4月27日
追加日:2016年6月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●大統領選の不思議-トランプとサンダース


 アメリカ大統領選は予測がつきにくいということを最初からずっと申し上げてきました。特にドナルド・トランプ氏はあっという間に消えるのではないかと、専門家ほどそういうことを言い続けてきたわけですが、このままいくと共和党の候補者にトランプ氏がなるのではないかと言われています。また、共和党がもし指名しなかったら、無所属で、無党派から出る可能性もあるということです。

 このように、「トランプ現象とは何か」ということが片方にあり、もう片方にはバーニー・サンダース氏がいます。これもアメリカの政治の中では大変珍しい例で、自分は「社会主義者だ」と名乗っています。社会民主主義者である人がどうしてこんなにヒラリー・クリントン氏を追い詰めているのか。つまり、誰も対等の競争相手と思わなかったわけですが、そのサンダース氏がまだ生き残っています。これは不思議なことです。


●人々の不満を吸収する左右の候補者たち


 この左右が出てきて、不満をぶつけているという見方が一つあります。それはその通りです。その通りですが、実は共和党の側からいえば、もっと極端な右がいたわけです。つまり、トランプ氏はどちらかというと穏健なのです。もちろん、トランプ氏の発言は大変過激です。彼の主張は確かに不法移民に対しては過激で、「メキシコとの国境に壁を作れ。壁の費用はメキシコに払わせろ」というような言い方をしています。特に不法移民、あるいはイスラム系の移民、難民に対して厳しいことを言うので、すごく極端な右と思われるかもしれませんが、イデオロギーポジションとしてはそれほどでもないのです。また、イデオロギーポジションでいうと、サンダース氏は明らかに左です。

 では、この左右両方は不満の吸収でいう点でみるとどうか。今まで、共和党系の人は不満をぶつけることがありました。共和党系でいえば、過去ネオコン(新保守主義、ネオコンサバティブ)があり、ティーパーティーがあって、これらによってアメリカの共和党の足腰は非常に弱くなったと、私は思います。イデオロギー路線であるために、ほとんどの共和党候補者はティーパーティーの主張をのまざるを得ないというような形になってきたので、非常に硬直的な市場原理主義的な立場を取ります。


●支持層の変化に「アメリカの凋落」を見る


 もう一つ、トランプ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
柳川範之
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(9)リーダーシップとモチベーション
マズローの欲求階層説を発展させたアルダーファの理論とは
大塚有希子
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
逆境に対峙する哲学(9)先人の知恵という友
本居宣長も白隠もハイデガーも友となる――大切なのは?
津崎良典
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司