●数十年ぶりにできた「国際社会科学部」は英語が基本ツール
これまで、私は、この10MTVで、東京大学大学院経済学研究科教授という肩書きでお話をさせていただいてきましたが、4月1日から学習院大学に移りました。肩書きも新しく変わり、学習院大学国際社会科学部の教授ということになります。
私の新しい職場は、学習院の中に数十年ぶりにできた、まったく新しい学部です。そこで、新しい職場をご紹介する意味も兼ねて、この学部が行おうとしていることと、今後の日本が目指す教育の方向性や大学が持つ重要な役割との関わりなどをご報告したいと思います。
学習院の新しい学部である国際社会科学部では、入学してから最初の2年間で徹底的に英語力を付けていただくと同時に、国際社会科学に含まれる経済・経営・法律・国際情勢などを勉強してもらいます。そして、3年目以降は、それを応用する形で、英語で授業を受け、英語でディスカッションを行ってもらいます。ごく簡単に言うと、英語が教育の基本的なツールになるわけです。
つまり、2年間でそのための力を準備して、3~4年で仕上げていくのですが、さらに卒業するまでに留学することも要求されています。留学先はイギリスやアメリカ、オーストラリアなどの英語圏もあれば、人によっては中国や韓国、あるいは東南アジア方面もあるのかもしれません。留学は単なる語学留学だけではなく、この大学での学生時代に学ぶ国際社会科学、例えば発展途上国の経済支援、あるいは国際的な環境問題などについて意識することも、おそらく留学の課題になり得るだろうと考えられます。
●2タイプの教員からグローバルな環境の中での教育を受ける
こういう新しい学部は、全国にいくつかでき始めており、これからはかなり急速に増えていくだろうと思います。それには、いくつか重要なポイントがあると思いますが、その一つは、学生の間にできるだけグローバルな雰囲気に浸っていただくことでしょう。
学習院大学の例を挙げますと、20名前後のファカルティ(大学教員)のうち、経済や政治、会計、国際情勢などの社会科学に関わる分野を教える教員は半分ほどで、残りは英語の教員です。しかし、英語の教員という言い方は、実は正確ではありません。外国で生まれて外国で教育を受けた、アメリカ人・フランス人・カナダ人・韓国人・中国人という人たちがい...