米国史から日本が学ぶべきもの
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南北戦争は奴隷解放のためではなく利害の対立
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アメリカの全体像をつかむ上で理解すべき「いくつもの顔」
米国史から日本が学ぶべきもの(1)アメリカ社会の複雑性
神藏孝之(公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事 /松下政経塾塾長代理/テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
1960年の「日米安保条約」の締結により、アメリカは日本で唯一の同盟国となった。しかし、われわれは本当にアメリカを理解しているといえるのか。戦前日本の3人の知米家と当時のアメリカ大統領の特徴から、アメリカ社会が持つ複雑性とその歴史を読み解いていく。(全5話中第1話)
時間:10分01秒
収録日:2021年5月21日
追加日:2021年7月3日
≪全文≫

●戦前日本の優れた知米家たち


 最初になぜ私がアメリカに興味を持ったのか、ということからお話させていただきます。

 「唯一の同盟国」といっているわりに、私たちは本当にアメリカのことをちゃんと知っているのでしょうか。戦前よりも今の人たちのほうがアメリカの中のキーパーソンと人脈があるのでしょうか。そこが私の中の問題意識でした。

 アメリカは大国なので、いろいろな種類の顔を持っています。最初に戦前です。私は松下政経塾の(塾生の)時に原敬について研究していました。日本が明らかにおかしくなり始めるのは、原敬が1921年に暗殺されてからです。

 原敬はどういう人かというと、36歳で通商局長、39歳で次官になり、その後、退官して、大阪毎日新聞の社長に就任しました。実業家としては、古河鉱業の実質トップで、北浜銀行の頭取です。政党政治家としては実体上、伊藤博文、西園寺公望に続く三代目の立憲政友会の総裁です。1900年頃から実質的には切り盛りしていきます。そんな彼が1908年から1909年にかけて、官費ではなく私費でアメリカを中心に見に行きます。なぜ彼は、今の金額で2億円ものお金を自らかけて、アメリカをつぶさに見たのでしょうか。

 その結果、「20世紀はアメリカの時代になる」と彼は確信します。これが一人目です。

 二人目は、2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』で主人公になっている渋沢栄一です。渋沢栄一は農民から武士になり、大蔵省の役人になって、そして日本最大の事業家になります。彼がもう一つやったことは日米の友好です。その彼が1924年、排日移民法制定に対して、「こんなことだったら、攘夷の志士をやっておいたほうがよかった」と絶望します。

 三人目は高橋是清です。高橋是清は日露戦争の時に日銀副総裁として、ユダヤ人のヤコブ・シフ(あるいはジェイコブ・シフ)率いるリーマン・ブラザーズの前進であるクーン・ローブ商会から金を集めてきました。


●原敬が暗殺された時のアメリカの大統領は誰だったのか


 この年表を見てほしいのですが、原敬が暗殺されたのは1921年です。渋沢は、1924年の排日移民法を観て絶望して、1931年に亡くなります。

 アメリカをよく知る金融のユダヤ人とものすごいネットワークがあった高橋是清は、二・二六事件(1936年...

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