米国史から日本が学ぶべきもの
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
南北戦争は奴隷解放のためではなく利害の対立
米国史から日本が学ぶべきもの(2)アメリカの起源と南北戦争
神藏孝之(公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事 /松下政経塾塾長代理/テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
イギリスの北米植民地であったプリマスとジェームズタウン。その後、一気に13州にまで領地を拡大し、アメリカ独立運動へと発展する。しかし、領土拡大につれて、基幹産業や連邦制のあり方の違いから南北の対立が激化し、ついに南北戦争が勃発する。これを機にアメリカは次の時代に入っていくことになる。(全5話中第2話)
時間:7分48秒
収録日:2021年5月21日
追加日:2021年7月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●アメリカ建国の起源


 その次は、アメリカのもともとの歴史です。アメリカをつくった人たちは、英国の「負け組」です。当時のグローバル主義の大英帝国に対して、アンチを唱えました。

 それには二種類います。一つは二流三流の貴族で、冒険家たちです。もう一つは宗教(キリスト教)原理主義で、清教徒の宗教亡命者です。基本的には、この二つです。

 二流三流の貴族はジェームズタウンに拠点を置きます。初代大統領のジョージ・ワシントンは、この末裔です。キリスト教原理主義者のほうは、マサチューセッツのプリマスに拠点を置きます。2代目大統領のジョン・アダムスは、ここの末裔です。特殊なのは、人権や自由をいうもののアメリカ合衆国憲法の中には黒人とかインディアンの権利は全く含まれていないことでした。では、誰がこの憲法をつくったのでしょうか。

 もう一つの複雑な構造は、南部は最初からフランス型で農業を推進します。トマス・ジェファソンのように駐仏大使の経験があって、フランス型の政体を支援する人たちがいました。一方で、アレクサンダー・ハミルトンのようにイギリス型の連邦政府を強化して、工業化を推進していく人たちがいました。南北戦争でいうと、北部の支持者に当たります。この二つの対立があります。

 1800年に当選したジェファソンが3代目大統領になると、少なくともペリーが日本に来るまでの国家像は、フランス型のほうに変わっていきます。


●急速な領土拡大とその背景


 先ほどの図をもう一回見てもらいたいのですが、どうやって領土を取っていったのか、ということです。図のグリーンのところから、次にオハイオ州をとり、ルイジアナ州のニューオリンズを取ります。それからテキサスを独立させて、メキシコから併合させ、カルフォルニア州を取ります。

 その部分を大統領の名前で分解していったのが上のスライドになります。基本的にこの4人だけ覚えておいてもらえればいいと思います。驚くべきことに、ほとんどがトマス・ジェファソンです。黒人奴隷農場主で、ルイジアナ買収を画策しました。次に、アンドリュー・ジャクソンです。こちらも黒人奴隷農場主です。それから、5代目大統領のジェーム...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(5)生成AIの活用イメージ
Copilotの提供方法を紹介~一般向けから業務特化型まで
渡辺宣彦