米国史から日本が学ぶべきもの
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
リベラルアーツを武器として、いかに知識を知恵に変えるか
米国史から日本が学ぶべきもの(5)人間力と知恵
神藏孝之(公益財団法人松下幸之助記念志財団 理事 /松下政経塾塾長代理/テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
大国アメリカを本当に理解するためには、アメリカの持つ多様な側面に目を向けなければいけない。そこでポイントになるのは人脈の構築であり、そのために重要なのは人間力と知恵である。アクセサリーとしての学問ではいけない。ではどうすればいいのか。歴史の中からそのヒントを読み取っていく。(全5話中第5話)
時間:10分26秒
収録日:2021年5月21日
追加日:2021年7月3日
≪全文≫

●幅広い人脈を築くには人間力と知恵が必要である


 最初に、原敬、高橋是清、渋沢栄一と3人の名前を出しましたが、彼らよりも現代の日本人はアメリカに人脈を持っているのかどうか、ということを本当に考えておかないといけない時代に入っています。

 唯一の同盟国の割にトランプが指名した大使は、一度も日本にやって来ませんでした。代理大使だったジョセフ・ヤングが東京の大使館でずっと続けていたのですが、彼はもともとチャイナスクールで中国の専門家で、奥さんはアメリカ系中国人です。

 政治と外務省系の人とつき合ってくる人たちは、基本的にはジャパンハンドラーです。ジャパンハンドラーの意味は、「日本で飯を食っている人たち」という言い方で良いと思いますが、ワシントンやコロンビアにいけば歓迎してくれて、良くしてくれます。なぜなら、自分たちの飯の種だからです。

 本当にそれだけで良いのでしょうか。やはりアメリカ社会全体のさまざまな人たちと関係性を構築していかないといけません。相手が大国であることを見ていかないと厳しいと思います。

 (ですから、中国は)中国共産党の北京だけ見ていると見誤ってしまいます。深センは中国共産党から相当いじめられていますし、アリババのジャック・マー、そしてある種アメリカから敵視されているファーウェイ創業者の任正非も、決して中国共産党から優遇されている人ではありませんでしたが、人脈を構築していきました。

 また、第一次世界大戦では、ドイツに追い込まれたイギリスがアメリカを参戦させるため、MI6(英国情報局秘密情報部)が徹底的に(人脈構築を)行いました。あるいは、アメリカ大使でもあり、有名な中国の哲学者の胡適、それから当時中国の代表だった蒋介石の妻である宋美齢がやったロビイング活動にはすざまじいものがあります。

 そして、今も中国は留学生を32万人ほど送り込んでいます。留学生の中で選抜組に対するやり方が徹底的に違っています。同じコロンビア大学、ハーバード大学に行っても、それぞれがミッションをやっています。例えば、「お前はもうひたすら毎日パーティーだけ開いて、人脈だけつくってこい」「AIだけ研究してこい」「全米50州全部周ってこい」というようなことを、金をつけながらやります。

 私は最初に中国共産党の情報源はオーバーシーチャ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの
「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ
齋藤純一
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏