イギリスEU離脱のグローバル経済への影響
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
BREXIT(ブレグジット)で一体何が起こるのか?
イギリスEU離脱のグローバル経済への影響
植田和男(第32代日本銀行総裁/東京大学名誉教授)
2016年6月23日の国民投票を前に、いま世界中から注目を集めているイギリスのEU離脱問題「BREXIT(Britain's EXIT from EU)」。もし本当にEUから離脱することになれば、一体何が起こるのか。イギリスやヨーロッパへの影響や、グローバル経済における意味やリスクなどについて、東京大学大学院経済学研究科教授・植田和男氏が徹底解説!
時間:19分34秒
収録日:2016年6月17日
追加日:2016年6月22日
≪全文≫

●イギリスのEU撤退「BREXIT」は何をもたらすか


 今日は、最近非常に話題になっている「BREXIT(ブレグジット)」というテーマについて、やや一般的なお話をしてみたいと思います。

 そもそも「BREXIT」とは、「Britain's EXIT from EU」つまり「イギリスがEUから撤退する」という意味を表す造語です。

 イギリスでは、これに関する国民投票が、6月23日に行われる予定で、この結果「離脱する」という意思決定が国民から下されれば、その後行政的な手続きがかかるため実際に離脱するのは2年ほど先になるようですが、イギリスがEUから脱退することになると言われています。

 本日は、そういうことが起こった場合のイギリス国内とヨーロッパにおける影響、さらにより広くグローバルにはどういう意味を持つのか。その両面について少しずつお話ししてみたいと思います。


●賭け率から分かる「BREMAIN」の推移


 影響についてお話しする前に、このデータをご覧ください。こちらは、イギリスがEUから離脱するかどうかについて、イギリスにおける賭けの結果を表したデータです。上に行くほど離脱の可能性が低いのは、表題に「BREMAIN」とあるように、イギリス(ブリテン:B)がEUにとどまる(リメイン:REMAIN)可能性を確率で示したものだからです。

 イギリスのウェブサイト上ではいま、どちらが起こるかに対する賭けが行われています。このグラフは、それを日々集計してつくり出したものです。賭けから読み取れる確率をご覧いただきますと、今年5月中旬ぐらいまではだいたい一定で、かなり高いところ、つまり「EUから離脱しないだろう」という倍率で推移していました。その後、いったん「もう大丈夫だ」という見方が強まり、「離脱しない」可能性が高まったという結果が出ています。

 ところが、6月に入ると急速に離脱の可能性が高まり、イギリスがEUに残存する可能性は低くなってきたことを、賭けの数字は告げています。今週(6月第3週)の半ばごろには最低のところに落ち込む結果が出ています。それでも50パーセントは上回っていますので、この賭けに参加している人たちはどちらかというとEUにとどまることを望んでいる人が多いという、そのような賭けだと言われています。

 グラフの最後の部分(6月16日から17日)には、いったん上がる動きが示されています。ご存じのようにイギリスのEU残存派である下院...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
柳川範之
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
プロジェクトマネジメントの基本(9)リーダーシップとモチベーション
マズローの欲求階層説を発展させたアルダーファの理論とは
大塚有希子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司