クリミア問題を語る~ロシアへの対応と米欧の思惑~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
クリミア分離は碁で言う“いい「分かれ」”
クリミア問題を語る~ロシアへの対応と米欧の思惑~
岡崎久彦(外交評論家)
クリミア問題に関して、ロシアを批判する専門家の意見が多い中、ウクライナからのクリミア分離に理解を示す岡崎氏。ロシアに対する米欧諸国の思惑が絡み合う中、クリミア問題は今後どう進んでいくのか。岡崎久彦氏に意見を聞く。
時間:11分01秒
収録日:2014年3月26日
追加日:2014年4月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●クリミアとウクライナの分離に対する理解は“いい「分かれ」”


岡崎 実は、クリミアについての私の意見は、アメリカの今の主流の意見と違うのです。それから、日本のロシア専門家の意見とも違います。

 日本の専門家は、何十年来の伝統で、「ロシアは悪い」という意見です。よって、ロシアに甘いことを言うと、専門家の間で袋叩きになるのです。ですから、例えば北方領土でも、「妥協で解決する」などということは、ロシア専門家100人が100人、誰一人として言えないわけです。もし、そんなことを言ったら、「お前は神聖な日本の領土を失ってもいいのか」とか、「中立条約を破って、満州と樺太であれだけ暴行を働いたことを許すのか」とか、そういうことになるのです。それで、甘いこと、妥協的なことは、いっさい言えなくなっているのです。

―― 不自由な存在になったと。そういう空気なのですね、専門家の間では。

岡崎 しかし、対ロシア政策担当者の心の中は、必ずしもそうではないと思います。けれども、それを言ったら袋叩きになるということです。

 そういう背景がありまして、とにかく「ロシアが悪い」「許してはいけない」と言わないと、ロシア問題の評論家としては地位がなくなってしまうということです。

 ただ、今度の事件について、私はうっかりはじめから言っていましたが、これは“いい「分かれ」”だと思うのです。「分かれ」というのは、碁で言う「分かれ」のことです。「ここは俺が取って、これはお前が取る」ということです。

---- なるほど、“いい「分かれ」”だと。

岡崎 要するに、ロシアは、ウクライナを失ったのです。ウクライナというのは、ロシアの下腹部にあり、ものすごく大事な国です。それを、親ロ派政権にするか、親西欧政権にするかで争い、かなり強引なてこ入れをして、親ロ政権をつくったのです。その前の政権は、EUに入ると言っていたので、それをつぶしたということです。

 ところが、その後、親ロ政権が一種のクーデターのような革命騒ぎで追い払われ、親西欧政権ができたのです。これが、なかなか元へ戻る見通しがつきません。ということは、つまり、ロシアはウクライナを失ってしまったということになります。

 ウクライナを失うとなると、ロシアはウクライナを自分の子分だと思ってクリミアをウクライナに置いていたけれども、クリミアだけは取り返さな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
「進化」への誤解…本当は何か?(2)「進化論」対「創造論」
「進化論」対「創造論」…アリストテレスの目的論とは?
長谷川眞理子
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純