日露関係正常化に向けて
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日露首脳会談開催へ!今、意識すべきは中国の存在!?
日露関係正常化に向けて(1)ユーラシアの政治力学
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
2016年12月15日に安倍首相の地元・山口県長門市でのプーチン大統領との日露首脳会談が予定されている。この会談により、戦後の日露関係は大きな転換点を迎える見通しだ。歴史学者で東京大学名誉教授の山内昌之氏に、日露が直面する喫緊の課題とそれを見据える視座のあり方をご提示いただく。(全2話中第1話)
時間:12分18秒
収録日:2016年11月14日
追加日:2016年12月14日
カテゴリー:
≪全文≫

●「クマを抱いては駄目」というイラン民話の寓意


 皆さん、こんにちは。イランの民話には、次のような言い伝えがあります。

 「クマを可愛がってもいい。でも、抱いては駄目。クマはあなたを押しつぶすから」

 イラン人にとってのクマは、もちろんロシアを暗喩として指しています。つまり、ロシアという厄介なクマをいかにあやして付き合うか、という問題です。「クマと仲良くしよう。しかし、必要以上に懐に入るのは駄目だ。体も大きく、力も強い相手だから、必ずあなたを押しつぶしてしまう」ということです。これは19世紀に2回大きな戦争を起こし、その結果、多くの中央アジアやコーカサス(カフカース)の領土を失ったイラン人たちにとって切実な声だったのかもしれません。

 今、私たちは日露関係の正常化に向かっています。(ウラジーミル・プーチン大統領が)12月に来日し、山口県長門市すなわち安倍晋三総理大臣のお膝元で首脳会談が行われる手はずです。このような日露関係の進展に際しては、両国間の友好に向けての懸案を解決することがもとより喫緊の課題です。しかし、日米関係(日米安保条約)という大変重要な核を持つ日本としては、ロシアをクマにたとえたイランの知恵や民話を、どこかで念頭に置いておく必要があろうかと思います。


●資源・エネルギー問題から見る日露関係


 現在世界では、新しい冷戦、あるいは「冷戦よりも冷たい戦争」と呼ばれる事態がロシアを中心として進行しています。これは必ずしも軍事力を伴わない戦争ですが、シリアやウクライナ等々で起こっている内戦や武力衝突に際して、ロシアが全面的にバックアップしたり、戦いの担い手になっている現実があります。

 しかし、こうしたことばかりではなく、ロシアはエネルギー戦争や資源戦争といった形で世界に非常に重要な役割、「覇」を唱えています。

 例えば2009年、ウクライナとの紛争に際して、ロシアはウクライナに対するパイプラインを止めました。そもそもウクライナ側が天然ガスの使用料を払わず、天然ガスをただで使おうとしたのが原因ですが、これにプーチン大統領のみならず、当時のロシア首脳たちが皆、怒ったことは言うまでもありません。

 紛争の余波として、ウクライナを抜きに西ヨーロッパや中東の主要な顧客に天然ガスを届ける回路が模索されました。その結果、サウス・ストリーム(南の流れ)や...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(6)賴住光子先生ラフカディオ・ハーン論
ラフカディオ・ハーン『怪談』と『神国日本』の深い秘密
テンミニッツ・アカデミー編集部
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
『孫子』を読む:地形篇(1)六地形の戦略を学ぶ
ベトナム戦争でホー・チ・ミンが学んだ『孫子』地形篇とは
田口佳史
印象派の解体と最後の印象派展(5)ポスト印象派の台頭
ゴーガン、ルドン、スーラ、ゴッホ…ポスト印象派の時代へ
安井裕雄
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
変化する日本株式市場とPEファンド(3)米国型への転換を迫られる日本企業
いまアクティビストの動きは?…進む「米国化」の現状
百瀬裕規
新撰組と幕末日本の「真実」(4)江戸の剣術道場が流行した背景
剣術三大流派の道場主も農民出身?…剣術道場の意外な真実
堀口茉純
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
いま夏目漱石の前期三部作を読む(9)反知性主義の時代を生き抜くために
なぜ『門』なのか?反知性主義の時代を生き抜くヒント
與那覇潤