ポストモダン型戦争と第二次冷戦
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「第二次冷戦」と呼ぶ現在の緊張状態をもたらした背景
ポストモダン型戦争と第二次冷戦(1)緊張の構造
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
いま、中東はどうなっているのか。歴史学者・山内昌之氏は、2008年のグルジア戦争から2014年のクリミア併合、そしてシリア戦争でさらに緊張の高まる現在を「第二次冷戦」と定義し、世界はいま、一つの歴史的局面を迎えているという。国際政治の構造を読み解くシリーズ講話。(全3話中第1話目)
時間:10分31秒
収録日:2015年12月14日
追加日:2016年1月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●「戦争が日常」という中東の現実


 皆さん、こんにちは。

 現在の社会情勢は、中東、ウクライナなどを中心に混迷を極めているどころか、現実に戦争が行われているのが現状です。私たちは、江戸時代270年の歴史を通して国を閉ざし、しかしながら、そこで「パクス・トクガワーナ(徳川の平和)」ともいうべき未曽有の平和状態を経験してきました。その後、昭和10年代前後の15年ほどを例外として、日本はどちらかというと一国平和主義に徹し、平和であることが普通であるという状態に、誠に幸せなことに、日本人は慣れてきました。しかし、日本人として現在の中東を見るとき、困惑し、かつ時には幻滅する機会になることは、すでに皆さん自身も経験したことが多いのではないかと思います。

 中東では、大きな戦争が度々行われています。イスラエル対アラブという構造で考えてみても、4回にわたる中東戦争。米欧、特にアメリカによって外から持ち込まれた戦争ともいうべき湾岸戦争とイラク戦争。そして、大規模なものだけで、レバノン戦争と呼ばれるものは2回もあり、かつパレスチナ自治区のガザをめぐるイスラエルとパレスチナのイスラム過激派組織ハマスとの間の事実上の戦争であるガザ戦争も2回にわたって行われています。

 こういう中東においては、戦争や戦火を日常的に経験しているという不幸な現実があります。特にアラブの市民の目から世界を見ると、大変残念なことに、そこには日本人とはまったく異質のものが浮かび上がってきます。つまり、中東では戦争こそが日常であり、平和は非日常であるという、すこぶる権謀術策に富んだ、言ってしまえばマキャベリズムの渦巻く遺憾な現実が存在するということです。


●米欧に勢力を拡大する非国家テロ組織


 モダン(近代)あるいは近代を原理とするモノの考え方のモダニズムが、自由や人権、民主主義という意味を失ったかのように思われる時代、あるいはそうした成立条件が失われた時代を仮に「ポストモダン」と呼ぶと、現在、私たちはこのポストモダンの時代において、誠に不幸な戦争や争いが繰り広げられているのを見ることができます。

 モダンといえば、「プレモダン」という言葉があります。つまり前近代です。そして、モダンがあり、ポストモダンがあるのです。中東の歴史と政治が、現在皆さんがご覧になるように、すこぶる複雑であり、時に不可...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(5)「3つ」で組まれた構造分析
驚くほど似ているギリシアの『オデュッセイア』とインドの『マハーバーラタ』…その謎に迫る
松村一男
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(5)移動と破壊と自由の実現
徳川家康ではなく織田信長…司馬文学が描く「別の可能性」
片山杜秀