2017年世界と日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世界中で警戒されているプーチン大統領
2017年世界と日本(3)プーチンのロシアとその野望
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
徹底した国家主義者、合理主義者であるプーチン氏のやり方は、「強引」の一言に尽きるが、そこには「ユーラシア志向」に根ざしたプーチン氏の強い信念がうかがえる。圧倒的権威を誇るプーチン政権に至るまでの経緯、背景に触れ、日本はロシアおよびプーチン氏とどう付き合っていくべきかを論じる。(2017年1月24日開催島田塾第142回勉強会島田晴雄会長講演「2017年 年頭所感」より、全11話中第4話)
時間:15分35秒
収録日:2017年1月24日
追加日:2017年5月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●安倍・プーチン首脳会談とそれぞれの思惑


 今回は、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国、中東の問題を全部総ざらえしたうえで、第1次アベノミクス、第2次アベノミクスについても全部お話しします。皆さん、耐えられるかどうか。頑張ってください。

 昨年2016年の12月15日、16日、安倍・プーチン会談が山口と東京で行われました。プーチン氏は15日に2時間、わざと遅れて日本に到着しました。こういうことをあの人は他の国でもやっているようです。安倍首相はプーチン氏とそれまで16回会談を行い、多分プーチン氏の方では「晋三は、相当、俺のことを分かり始めてきた」という感じがあるんだと思うんです。安倍首相はこの機会に応じて、「プーチンも強い政治権力を持っているし、私も持っている。この2人でなければできないのだから、経済協力をどんどん進めて、領土返還を含む平和条約協定に持ち込もう」と、そういう考えだったと思います。

 会談の結果は、「四島での共同経済活動に関する協議を始めることが、平和条約締結に向けた重要な一歩になるとの認識で一致した」というものでした。要するに、何もやらないわけですね。プーチン氏は、後で詳しく述べますが、もちろん、すごく経済協力を求めているのです。というのは、アジアや日本など東方に大変に興味があり、そこが協力してくれるなら、そういう関係がのどから手が出るほど欲しい。ただ、「より高次の信頼醸成が必要だ。北方四島はそれから考える」とも言っているわけです。

 そこで、プーチン氏がにおわせているのは、「北方四島でロシア主権の下で共同経済活動を行う」ということですが、これは非常に危険であり、もしこれをやれば、日本は北方四島を最初から放棄した感じになってしまいます。しかし、安倍首相は、クリエイティブな発想でということですが、それに近づこうとしていて、非常に怖いことなのです。


●プーチンが「より高次の信頼関係」を求める背景


 恐らく、プーチン氏が一番不愉快に思うのは、日本がクリミア併合への経済制裁に加担していることだと思います。「欧米に言われたからって、付き合いで入っているなど、ふざけんな」といったところでしょう。あれで、ロシアはひどい目に遭っているわけですから。ですから、「より高次の信頼関係」とは恐らく、分かりやすく島田流に言ってしまえば、「日米安保への傾斜を弱める」というこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓